制限を楽しむ
弓 削 裕 之
子どもたちはしばしば制限を楽しむことがある。自分たちで考えた遊びが単調でつまらなくなってくると、より厳しいルールを作り、「こんなん無理やわ!」と言いながらうれしそうに挑戦する。テレビゲームに難易度が設定されているのも、難しいことに挑戦したいという子ども心をよく表している。 漢字ドリルでその日の範囲を練習した後、新出漢字を使ってリレー小説を書く活動をしている。3つの制限つきである。 o1文の中に必ず新出漢字が1つ以上含まれていること。 o隣同士で1文ずつ交代して書くこと。 o文と文のつながりが不自然にならないようにすること。
子どもたちはまず、新出漢字の入った言葉を探し始める。自分の考えた物語に合うような言葉を必死に探す子もいれば、見つけた言葉をもとに物語の筋を考える子もいる。友達の書いた文の続きを書かなくてはいけないので、自然な流れにするために接続詞を駆使する子もいる。制限の中で生み出された文章には、必ず学びの足跡があるのだ。 制限というのは窮屈であるが、確かな学びを保障する立場として、「自由」をもう一度見直さなくてはと思う。 (京都女子大学教育学部附属小)
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