第24回「新しい国語の授業」研究会 報告
池 嵜 繁 伸

 研究協議テーマ「子どもが言葉の力をつける国語の授業」のもと、平成22年7月24日、フェリエ南草津「市民交流プラザ」を会場に、第24回「新しい国語の授業」研究会を開催した。

 県外からの参加者を含む熱意ある多くの先生方や教職を目指す学生とともに、子どもの言葉の力の育成を目指し、国語の授業のあり方や国語教室づくりについて、研修を深めることができた。今回の研究会は、「研究協議」「教材開発実習講座」「講話」の三部構成で行われた。その一端を紹介したい。

 「研究協議」では、彦根市立旭森小学校の西村嘉人先生の実践提案「国語科の授業を改善する視点」をもとに、国語教室づくりの歩みや一人一人に確かな言葉の力をつける指導のあり方について学び合うことができた。特に、「生き物はつながりの中に」の実践では、自分の考えをノートに書く「一人勉強」を軸に、子どもたちが「比べる」読み方を学び取っていく過程と、そこに意識を向けさせる西村先生の子どもに即した指導について学んだ。

 「教材開発実習講座」では、マキノ南小学校の海東貴利先生が、「音読活動の開発」をテーマに、「言葉に着目して詩を読もう」「聞き手も一緒に音読しよう」の二つの実践例を、フロアー参加型で提案された。参加者アンケートの感想で評価が高かった「聞き手も一緒に音読しよう」の一部を紹介したい。「主体的に聞き、積極的に音読を楽しもうとする聞き手を育てる」こと等をねらいに、「みんなで読み聞かせをしよう」という単元を特設している。学習のポイントは、読み手の合図に合わせて、聞き手全員が声を合わせて音読する言葉を考える活動。研究会では、「よかったねネッドくん」〔レミー・チャップリン 偕成社〕の絵本の読み聞かせをする海東先生の合図に合わせて、聞き手の参加者全員が、次のように声を合わせた。運がいい場面には「よかったね」、反対に運が悪い場面には「たいへんだ」である。読み手と聞き手の一体感が感じられ、子どもたちが意欲的に取り組む姿が目に浮かんだ。

 また、竜王西小学校の谷口映介先生は、竜西小の児童を国語好きにするプロジェクト「竜西ほんわか大作戦!〜読書活動の推進と読解力・思考力を高める国語の授業づくり〜」での全校的な取組と共に、6年生での実践事例を中心に提案された。複数教材を提示し、個に応じた読み取りを深める学習活動の設定や、目的・課題を明確にし、自分の考えを持てるワークシートの工夫等について学ぶことができた。

 「講話」では、吉永幸司先生から「楽しくて力が育つ国語の授業づくり」について、多くの子どもの姿を通して、ご指導いただいた。特に、「言葉には、意味、意図、気持ち、があることを教える」という言葉が心に残った。
(彦根市教育委員会)