▼読書指導を話題にすると、その方向はいつも読書環境に向かう。図書の充実、読み聞かせ等、読書意欲を高めることについては研究や実践は深まっている。しかし、国語教育と読書を結びつけて考えると、読書への導きでいいのかどうか。

▼国語科の読書単元では「本と友だちになろう」「読書の世界を深めよう」という甘い言葉が並ぶ。学習活動は次のような設定になっている。1年では「すきな本やおもしろかった本をともだちにしらせましょう」(ずっとずっと大すきだよ)、2年では「学級文庫や図書館でおもしろそうだなと思う本をさがして読みましょう」(スイミー)、6年「読書発表会をしよう」(森へ)と教材と活動をつないでいる。この単元構成の意図は、教材と提示した文章から得た関心や読み方を生かし、読書活動を広げようというものである。

▼子どもたちの読むことの力は、内容を理解する、内容から自分の考えを作るというように幅が広い。その幅広さの中に「自分から進んで本を選ぶ」という前提がある。しかし、授業では読解に軸足が置かれる。読解であっても読書に向かう指導があるはず。読み方の指導を国語科授業でしないと、時間をかけて指導をしても、自分の力で本を読もうとする子を育てることにならない。(吉永幸司)