第14回「新しい国語実践」の研究会 富山大会
収穫の富山大会
伊 庭 郁 夫

 JR富山駅に降り立つと「新しい国語実践の研究会」の案内表示を持った先生の出迎えを受けた。開通したばかりの新しい路面電車「セントラム」に乗り込み会場へ。

 大会冒頭の須田実代表の講話で「思考力」「判断力」「表現力」の関連を考えさせられた。
 また、全国学力・学習状況調査に関しても問題提起があった。フィンランドをはじめ、上位にある国々は、人口から見ると比較的少ない。1億人以上の国で、いかに学力を向上させるのか考えていく必要を感じる。

 分科会は、「読むこと」に参加した。その中で、特に弘前大学教育学部付属中学校の岩崎恵先生のご提案に思いを巡らした。「字のない手紙」は、向田邦子さんの随筆である。題名にインパクトがある。また、作品に力があり、ぐいぐいと引き込まれる。小学校でも、新学習指導要領で「随筆」という概念が入ってくる。いかに指導するかのヒントを頂いた。
 随筆の前段で父親像を捉える。そして、5つの選択課題から1つを選び、補助プリントを使い構想を立てるのである。
(1) 作者紹介パンフレット作ろう
(2) 自作の随筆を書こう
(3) 前段をつけた効果を考えよう
(4) 他の作者の随筆と比較しよう
(5) 亡き父への手紙を書こう
教材研究、教材開発や生徒の作品を二次教材として扱うことなど小学校の指導にも役立てられそうである。

 2日目は、田中孝一主任視学官の講演に聴きいった。20年後の社会を見通し、広い視野から教育を語られた。言語的背景の様々な児童の言語形成を3年生までに一定レベルにそろえるという、あるチャータースクールの責任者の話にうなずいた。社会で自立して生きていくための力に責任を持つのである。これからは、新教育課程の趣旨や内容等を生かす学習評価の在り方について検討される。「指導と評価の一体化」の視点は、常に心したい。

 続いての、パネルディスカッションも有意義であった。
水戸部修治教科調査官の話の中で、教材研究の大切さが指摘された。私自身、共鳴するところがあり、発言させて頂いた。「大きなかぶ」の動作化では、かぶを引く場面ばかりでなく、あちこち走り回って助っ人を探す場面を動作化したり会話を入れたりすることにより読みが深まると考えている。

 また、松碕嘉信先生の「生活作文」の重要性と「随筆」との関連についても考えたいと思いながら富山を後にした。米田猛実行委員長とスタッフの方に感謝します。
(大津市立堅田小)