自分の言葉で伝える
白 髭 英 之
2学期の中頃『一つの花』の学習に取り組んだ。作品の叙述、また、その行間をできるだけ丁寧に読み取り、主人公やその家族の心情に迫っていった。 学習の最後はどのように締めくくろうかと悩んだが、一人一人が作品から感じたことを自分の言葉で表現してほしいと願い、感想文を書くことにした。それぞれが読み取り、読み取ったことを伝え合う時間を中心に学習を構成したので、この学習を通して、どの程度読みを深めたのかを知りたいという思いもあった。 参考書やインターネットに掲載されている情報などを参考にし、以下の4つの中から自由に選択して書かせた。 @もう一度感想を書く。(初発の感想に続き2回目) A作者が読み手に伝えたかったことを想像して書く。 B主人公のゆみ子に手紙を書く。 C「一つの花」に他の題名をつけて、その理由を書く。 @から… ●ゆみ子が生まれた時代は、生きていくこと自体が大変な時代だったんだなと思いました。 ●もし、ぼくがこの時代に生きていたら、もっとわがままを言って迷惑をかけていたと思います。もう、戦争をしたりしてほしくありません。 主人公と自分を重ね合わせていることが伝わってきた。 Aから… ●作者は、戦争が始まって平和がなくなり人々がどれだけ苦しんだかを、私にわかってほしかったんじゃないかなと思いました。 読み手を第3者ではなく、自分のこととして考えている。 Bから… ●お父さんは「この子はどんな子に育つだろう」ってずっと思っていたんだよ。だから、今でも空の高いところで見守ってくれていると思うよ。 小さかったゆみ子に、お父さんの思いを伝えようとしている。 Cから… ●『未来の花』 お父さんが渡したコスモスには、ゆみ子の将来への思いが込められていて、そのコスモスのおかげで、ゆみ子は立派に育ったからです。 ゆみ子の成長を感じ、場面の変化を確実にとらえていることが伝わってくる。 作者はこの物語に多くの思いを込めているであろう。それを読み取り、自分の言葉で語らせることが、子どもたちの心情を豊かにすることにつながるのではないかと考える。また、先人の思いを受け継いでいくことも、我々の大きな役割であると実感した学習であった。 (彦根市立城南小)
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