全校で音読(1)「やまなし」(宮沢賢治)
吉 永 幸 司

1.全校音読「やまなし」の指導
 全校音読を試みて4年目を迎える。1週間ごとに詩を覚えて全校の場で発表をするという方法である。ところが、隙間の時がある。2学期の第1週がそうであった。(夏休み明けであらかじめ指導をする時間がなかった)そこで、音読指導を引き受けて指導内容を次のように構想をした。
○教材の選択
 1年から6年という幅で読めるものを考えた。4年生の教科書の詩、古典、校歌と考えていくうちに「やまなし」(宮沢賢治)が思い浮かんだ。
 作者、作品、音読という要件を満たしていると考えた。
○指導の方法
 指導の時間は20分なので範囲を冒頭の部分にした。プリントは用意せず、当日、音読を聞き覚えるというようにした。全校音読終了後プリントの配布を各教室で行うという方法にした。
○指導の展開
 はじめに、目当ての設定。次に音読を聞く。そして、感想の交流と音読の繰り返し。最後は感想の発表というように考えた。
○留意事項
 前日に1年から6年の児童1名にはプリントそ渡し読ませておく。音読の範囲は「小さな二ひきのかにの子どもらが、青白い水の底で話していました。」から「それはゆれながら水銀のようにひかって、ななめ上の方へ上っていきました。」までの全部で14の文章にした。(「小さな谷川の底を写した、二枚の幻灯です。」を含めると15の文章)
 また、教科書の本文を示す。(挿絵が印象に残るようにした)

2.指導の実際
@課題の提示
 作品名と作者名と文章を覚えることが目的であることを伝えた。
「1年は1文、2年2文と学年の数以上覚える」と指示した。
A文ごとに音読をする
 学習範囲の音読をする。音読は前日にプリントを渡しておいた6人。1分ずつ読ませる。
B音読の感想を伝える
 即席で、各学年の当日の日直を全校の前に立たせて音読を聞いた感想を発表させた。
C文章を読むときの大事なところを指導し、全校で音読をする。
 出てくる動物、お話の場面、繰り返し出てくる言葉などを指導した。
D音読を繰り返す
 6年の子どもの音読を軸に自分が覚えたところを声に出して一緒に音読する。また、教師と友達と一緒に全校で音読をする。授業の感想を発表をする。プリントは教室で配布。
(京都女子大学)