自問自答しながら読む
西 村 嘉 人

「今まで国語の学習でいろいろな読み方を体験してきたね。今回の学習でも、これまでに経験していない読み方をしていきますから、学習の進め方をよく理解しましょう。」
と、いつもと同じように勿体ぶった言い方ではじめた「みんなで生きる町」(光村6上)の学習である。

 子どもたちに課題意識を持たせるために、「多くの人が使えるように」(古瀬 敏)が資料として掲載されている。詳細な読解指導を行う単元ではないので、以前にも実践したように、自分で「?」を付けながら読み進めさせることにした。
「書いてあることを鵜呑みにしないで、頭の中で『これはどういうことだろう』と考えて分からない事柄には『?』を付けて、付箋に自分の疑問を簡単に書いておこう。」
と指示をした。
 いつも文章の内容を細かく咀嚼せず、分かったつもりで読んでいる子どもたちにとってはしんどい読み方である。一度読み通したぐらいでは「?」など付けられるはずがなく、二度三度読んでみて「?」が一つ二つ付けられる程度の子どもがほとんどである。
「最低五つは『?』を付けよう。」
のわたしの言葉に子どもたちはうんざりした表情で応えた。

 次は、自分が付けた「?」に自分で答えていく学習である。
「自分で付けた『?』に自分で答えていく読み方を、自問自答読みと言います。読み方のレベルとしてはかなり高レベルです。」
などと眉唾物の説明をして、子どもたちに学習の進め方を指導する。

Q 「どんな人にも利用しやすくなっていなくてはなりませんって書いてるけど、どういう意味ですか。」 
A 「公共図書館だから、昼間に働いている大人の人たちよりも、地域のお年寄りとか子どもとかがよく利用するのでお年寄りや子どもに使いやすくすることが大切いうことだと思います。」

のように、自分で資料の文章を手がかりに答えを書いていく。自分勝手な想像による答えではなく、教科書の本文を確かな根拠とした答えを書くように指導した。子どもたちは「?」を付けるのにも苦しみ、答えを書くのにも苦しむという状況が続いた。しかし、
「先生、答えを書こうと思って何度も読んでるうちに『?』がなくなったわ。」
と子どもが言うようになった。「繰り返し読もう」と言わなくても何度もくり返して読み、自分に問い、自分で答える。ちょっと「できる」自分を楽しんでいる。
(彦根市立城南小)