第3回 国語力アップセミナー
高 野 靖 人

 滋賀県小学校教育研究会国語部会主催の「国語力アップセミナー」も、今年で3回目を迎えた。
 ちょうど1年前、第2回のセミナーで「話す・聞く」のネタ紹介講座を担当し、滋賀大学の大講義室で百名程度の参加者に対して、演習的な講座を実施したことを思い出した。50分の講座を2回繰り返す。参加者は、3つある講座から2つを選んで受講するシステムである。

 今年も大講義室では、「話すこと、聞くこと」の授業アイデアが講義された。担当は、瀬田北小の渡辺先生。私は、補佐をする会場係である。プレゼンをするパソコンの接続や調整、マイクの調整、照明の調整(プレゼンが見やすいように)、参加者の配置(できるだけ真ん中の前へ)等々。

渡辺先生のテーマは、「めあてを持ち、話し方を工夫していく学習のヒ・ミ・ツ」。低・中・高学年それぞれ十年ずつ担任された(現在進行中)実践家なので、全学年の具体的な子どもの姿を語りながら、「学びの土台」としての「学習の約束や学級づくり」、「学習観の改善」へとつながる「授業の工夫」、そして低・中・高学年での具体的な実践の紹介と盛りだくさんであった。
 演習はなかったが、参加者を学級の子どもに見立てて、低学年の「発音・発声練習」を実演される場面はあった。例えば「あいうえお」を声の大きさの変えて言ったり、感情をプラスして(笑いながら、泣きながら、うきうきしてなど)言わせてみたり。表情豊かに手本を示される渡辺先生、参加者は照れもあって思い切った表現はできていなかったが、渡辺学級の日常の学習ぶりを実感できた。

 休憩を挟んだ後半は、滋賀国語をリードされた先輩に学ぶ講話を全員が拝聴した。
 今年は、辻昭五先生の「子と個の育ち」であった。
まず紹介されたのは、『現場の児童研究』(八日市小著、昭和31年、明治図書)。子どもの成長発達の過程を探り、各学年の発達の特性をとらえた書物だが、昭和46年の改定や他校での検証を経て、平成7・8年に九州大学で、事例調査をした結果、そこで明らかになったことは、既に『現場の児童研究』で示されていたらしい。そこで、平成11年に『現場の児童研究・復刊』(海青社)が発行され、現在でも手に入る。もちろん、辻先生が中心となって研究・発表された成果である。その中から、発達段階に沿った子どもの姿や、成長過程と読書の関係、対話学習や作文指導の系統性等、具体的で分かりやすい講話がなされた。「足場を求める…1年生」「体で確かめる…2年生」「自分はいい子…3年生」等、印象に残っている。
(大津市立仰木の里東小)