▼保健室の言葉に興味を持っている。なぜなら、言葉の力がよく表れる場所だから。「先生」だけでも通じる。痛そうな顔をしていれば、それだけで、手当を受け、肯くだけで病院で診断を受けられるという環境になっている。身体のことは本人しか分からないし言葉で伝えてくれないとどう対応すればいいか分からない。

▼保健室の言葉は次のようだという養護教諭の報告があった。気になることとして次の3つを挙げている。(軽傷の場合である) @怪我をした場所の説明に多い指示語、A行動について説明するときの抽象語、B身体の名称を知らない。@については「グランドのあそこで転んだ」少し具体的になっても「体育館の前で」まで。体育館の前と言っても、体育館の入り口なのか外なのか範囲は広い。Aでは「友達とふざけていて転んだ」「友達とじゃれていて壁にぶつかった」である。「ふざける・じゃれる」は行動を表しているのではないから身体の動きが理解できない。Bについては「ここから血が出ました」「ここが痛い」等。右膝とか背中の左側という言い方はしない。指の名前は知らない子が多いのではないかという。

▼国語の授業でも同じ。指示語が多い等はその通り。確かな言葉の力を育てているかという保健室からの問いである。(吉永幸司)