漢字博士になって説明しよう
海 東 貴 利

 国語の授業のはじめの15分間を新出漢字の指導に充てている。
 最初は教師が指導していたが、1学期の後半から、「漢字博士になろう」というスピーチ活動に取り組んでいる。児童が先生役になり、担当した新出漢字をみんなの前で教師がするように指導する。毎回3人ずつが発表するように順番を決めて取り組んだ。年間を通して取り組んでいく予定で、子どもたちは緊張感を持って発表に臨んでいる。
 1学期は次の3つを指導のポイントにした。

1、発表の原稿を書くこと
 発表者(=漢字博士)は、必ず漢字の読み、部首、部首名、画数、熟語、熟語の意味、漢字を使った文を発表することにした。原稿は話し言葉で書き、推敲し、発表の練習をさせた。

2、漢字辞典を使うこと
 発表の中で新出漢字を使った熟語とその意味をみんなに伝えさせる。熟語の意味は、必ず漢字辞典を使って確かめさせた。辞典を引く学習の一つとなった。

3、みんなに見せるための掲示物を書くこと
 新出漢字やその熟語を大きな紙に大きく書いてまとめさせた。みんなに提示しながら発表することを意識して、ていねいに書かせた。本番では、掲示物を示しながら説明し、発表の後は教室に掲示した。全員が発表を終える頃には、みんなの掲示物が教室一面に掲示され、常時漢字の学習の確認ができるようになった。

 漢字博士になった子どもは、指示棒で漢字を指し示しながら、自信を持って説明することができるようになってきた。一学期は原稿を見ながら発表してもよいことにしたため、聞き手への意識が足りず、自分のペースで発表してしまうこともあったが、事前の準備をきちんと行ってきた成果もあり、ていねいに説明できるようになってきた。空書きの場面はみんなと鏡(左右反対)になるため苦戦しているようだったので、本番までに繰り返し練習をさせた。

 はじめの頃は決められた内容のことしか説明できなかったが、次第に間違えやすい「はね」や「はらい」といった書き方の注意点などにも目を向けて説明する子も出てきた。漢字博士を中心に、教室の全員が一画ずつ声に出して筆順を確かめることもできるようになってきた。「この漢字のことならぼくに任せてください」そんな気持ちで漢字の説明ができるように、漢字博士になったつもりで学習に臨んでほしいと思う。
(高島市立青柳小)