ここがこういいと言える そして、書ける(2)
中 嶋 芳 弘

 前時は「文字の大きさ(漢字と漢字)を知ろう」をねらいとして「夕顔」で学習を進めた。
 「今日は前の時間と同じねらいで『樹立』を学習します」と「樹立」を板書。
 「硬筆で書く→文字の組み立てについて考える→毛筆で書く」 前時と同じステップで学習を進めることを告げて、半紙を3枚ずつ配る。1枚を折らせてこれには、鉛筆やネームペン(硬筆)で書かせる。洋紙ですらきれいに折るのが難しい子どもたちに和紙を折らせたらどうだろう。筆圧が強すぎると書けない抵抗感。筆圧を意識させるにもよい。そう考えてのことである。折り方やそれによってできるますの大きさは、その時間のねらいや学習活動にようする時間によって変える。学習のねらいや進め方をわかりやすく。単調にならないように。

 子どもたちは、1つ目のますにねらいと名前を書く。書写の学習に必要な用語は子どもたちに共有されなければならない。学習活動の1つ目のステップの始まり。次のますに「樹立」と書く。書き終わると、前に出て書きたい子の手が挙がる。これは、約束になっている学習活動の展開。はじめは、手を挙げた子から3名程度を指名するが、指導の意図やクラスの実態によって変わる。
「筆順はどうでしたか。」
 数名が挙手。指名。
「全員、合っていました。」
 賛同者の拍手。

 このクラスの子どもたちとこの学習を進める上で約束していることがある。
○手を挙げないでかってに発言しない。
○友だちの良いところを発表する。
○直すと良いところは私(教師)が言う。

「では、黒板に書いてくれた人に2点。発表した人に2点。拍手してくれた人に1点。」 子どもたちは名前の下に「正」の字で記録していく。「続いて、お褒めタイムです。」
 挙手した子どもを起立させ、順に指名していく。同じ内容であれば、途中で座る子もいる。また、途中で気づいて起立する子もいる。
「前に出て、説明して良いですか。」
「Iくんの樹の字、真ん中の吉の縦画が中心の線と重なっているし、立の上の点が中心の線に重なって書けていて、中心を考えていて良いと思います。」 拍手。
「そうですね。その見方をすると、まだ、ほめることのできる人があります。良いと思ったらパーをあげてください」と言っていって黒板に書かれた文字を指していく。

 こうして、既習事項を用語とともに思い出しながら良いところを見つけ出し、認め合っていく活動が、次の学習を深めていく。
(彦根市立河瀬小)