線を引いて盛り上がりを考えよう「夏のわすれもの」
蜂 屋 正 雄

 7月に入ってからの物語教材。「物語のもり上がりについて」考えようという学習である。
 『夏のわすれもの』(東京書籍4上)は、4年生の子どもたちにとっては、とてもさみしく、少し悲しい話である。「大切な人の死」というものを初めて考えた子どももいたようである。「おじいさんがかわいそう」「まさるは草取りを手伝えばよかったのに」という感想が多く見られた。また、川遊びを体験したことのある子どもたちにとっては、川遊びに関する感想もいくつか見られた。

 学習のめあてとして、黒板に、
「物語のもり上がりについて考えよう」
と書いたときの子どもたちの反応は「もり上がり」を意識したのか、川で遊んでいる場面が一番盛り上がっているのでは、というものであった。
 そこで、
「まさるの気持ち(喜怒哀楽)がわかるところに線を引きましょう」
と指示した。
 気持ちが分かるところには、
@「ああ、川に行きたい」「にらみかえして」のように、言葉や様子で気持ちが直接わかるところ。
A「そうっと、えんがわから庭を見た」「飛ぶように坂道をかけ下りた」のように、どうしてそういう書き方をしているのかを考えると気持ちが分かるところ。
の2種類あることを伝えた。

 このように線を引いていくうちに、一番最後のまとまりの辺りにまさるの気持ちが分かる文が多く、
「ぼくは思わず立ち止まった」
「いつもとちがって見えた」
「おじいちゃんの麦わらぼうしをかぶった」
などといった言葉から、まさるの気持ちを想像することができることに気づいた。
 初発の感想では、この辺りのことについての記述は少なく、また、この辺りに何かを感じた子どもも、なにをどう書いていいかわからないという書きぶりであったが、Aの視点を考えることで、いろいろな文の中に主人公の心情を表す言葉があることに気づくことができた。
 また、物語の盛り上がりについても学習する中で、最後の場面辺りであることに気づいていった。

 これからも、線を引いたり見たりする視点を意識して物語を読み進めていきたい。
(草津市立笠縫東小)