大切なお話をします
弓 削 裕 之

 朝の会や帰りの会で、教師が連絡事項を伝える時間がある。しかし、2年生の子どもたちにはうまく伝わっていないことがほとんどである。そこで、次のような工夫をしてみた。
 @ 連絡事項をA・Bの2つに分けて教師が話す。
 A 座席の右の子が、Aの連絡を左の子に伝える。
 B うまく伝わったかを左の子に確認する。伝えられなかった子がいれば、うまく伝えられた子の発表を聞き、もう一度伝える。
 C 座席の左の子が、Bの連絡を右の子に伝える。
 D 同様に、右の子に確認する。

 毎回、「今から大切なお話をします。2つありますので、よく聞いて覚えてくださいね」 と声かけをしてから話し始める。両方の連絡を集中して聞けるように、どちらがAかBか は教師が連絡し終わった後で発表する。また、2つ以上の連絡があった場合は、重要度の 高い連絡2つで取り組む。「今日はAかBどっちかな?」と、ゲーム感覚でドキドキしなが ら話を聞いている様子が見られる。

 初めてこの活動をした時は、次の2点を連絡した。
 A 学校では、のどの調子が悪い人以外はマスクをしなくてもよいことになりました。
 B 登下校中は、のどの調子が悪くなくてもかならずマスクをしましょう。

 連絡を伝えた後、「2つとも覚えられた人は手を挙げてください」と言うと全員の手が挙 がったが、「ではお隣の人に伝えてください」と言うと、ほとんどの子がうまく話せなかっ た。どうして話せないか理由を尋ねると、「忘れました」という子と、「覚えているけれど、 何と伝えればいいのかわからない」という子がいた。
 そこで、教師がもう一度同じ内容を 話し、隣の子にうまく伝えられた子を指名してみんなの前で発表させた。「今の発表を聞い て何か気づくことはありますか?」と聞いてみると、「意味は同じだけれど、先生の言い方 と少し違っていた」という意見が出た。「言い方は違うのに、同じ意味になるのはなぜだろ う?」と問うと、「大事な言葉は先生と同じだから」という意見。 そこで、子どもたちと一緒に今回の連絡で大事な言葉はどれかを考え、語尾まで丸暗記するよりも、重要な言葉を 聞き落とさないことが大切であることに気づかせた。

 学校では、毎日のように連絡事項がある。こちらが「確実に伝えよう」と意識すること で、子どもたちの聞く力が育てばと思っている。
(京都女子大学附属小)