▼職員室で鉛筆と消しゴムを話題にした時のこと。図工科専科講師からの「私は、消しゴムを使わせません」という言葉に共感した。小学生の頃、丁寧に指導をされる先生の影響で、鉛筆の持ち方やノートの使い方が徹底していた。その後の中学、高校で役立ったとのこと。

▼子どもの筆箱の中には鉛筆と消しゴムが入っている。少し前までは、質素で素朴で鉛筆はHBかB。今は種類も多く、絵や香りもつき至れり尽くせり。しかし、学習の基礎である鉛筆や消しゴムにそれほど関心が持たれていない。正しく持つことに目を向けたい。

▼手元には40年前の子どものノートがかなりの冊数ある。すでに50歳台の昔小学生だったみなさんのノート。内容は、今の子どものノートとほとんど変わらない。丁寧な文字で書いているノート、文章からは折々の緊張が伝わってくる。文字の丁寧さは時代を超えて心に響く。

▼『東大合格生のノートは必ず美しい』という本を手にした。見やすく整然としたノートの実際は、著者でなくても心が動く。書くことで力を身につけていることが理解できるから。

▼文字に書いたものは書き手の分身。思い直し、書き直しの痕跡を残していた方が、指導の場合は効果がある。清書など特別な場合を除いて、国語の時間は、あまり消しゴムを使わないようにという提案をしたい。(吉永幸司)