▼国語科の方向が学習指導要領で示され、移行期を迎えた新しい年明けになった。言語力・読解力・伝統的な言語文化・思考力・判断力・表現力などのキーワードも少しずつ浸透をしてきた。国語科の授業の改善は学力を伸ばすという面がある。しかし、それ以上に、日常の言語生活が豊かになるという面がある。

▼兼務をしている小学校で「国語力は人間力」を合い言葉に学校あげて国語の力を育てることに取り組んで3年が過ぎ4年目に入る。それを学校経営の重点事項に据えている。成果と思えたのは、「あなたの学校の誇りは何ですか」と尋ねられたとき「敬語が使えます」とか「丁寧語で話しています」と学校が大事にしていることを語っていることである。

▼国語の授業というと、報告文を書く、プレゼンテーション・ディベートなどの活動に目が向く。研究会ではこのような活動が華やかに語られる。しかし、国語力はどこまでも言葉で考え言葉を大事にすることであって、パフォーマンスではないと思っている。ノートの文字が丁寧に書けること、単語でなく文として意識して話ができること、伝えたいことが正しく伝えられることなどは、地道な授業の積み上げからしか育ってこない。

▼新年を迎え、国語の授業の不易と流行、特に不易の部分を大事にして言葉に向かい合う授業に目を向けたい。(吉永幸司)