語彙を増やす取り組み 〜熟語を使おう!〜
箕 浦 健 司

 子どもたちの書く文章の中に使える言葉を増やしたい、という思いから、熟語を使えるようにするにはどうすればよいかを考えた。
 子どもたちが進んで「熟語を使おう」と思うためには、熟語を使うことの良さを知り、実感することが必要である。私が考えた「熟語を使うことの良さ」は、
○漢字や熟語を用いることで、文章を短く、端的にまとめることができる。
○目上の方へのお礼のお手紙などで、ふさわしい表現をすることができる。

 教材は『熟語の成り立ち』(光村6年)。熟語に対する興味・関心が高まるように、導入で新聞記事を見せた。新聞記事には、政治や経済等、専門用語が多く使われている。また、新聞記事は決められた範囲に文章を収めなければならないので、恰好の材料であると考えた。
 第1時、子どもたちに新聞記事を読ませた。「漢字だらけ」「難しくて意味が分からないな」「難しい熟語が多く使われている」という反応。
 次に、なぜ新聞記事には、多くの熟語が使われているのかを考えさせた。
「政治や経済の用語が多いから」「新聞記事は、範囲が定められているから」
 この答えが出たときに、熟語を使うことで文章を短縮できるということを伝えた。

 2字の熟語、3字・4字以上の熟語それぞれについて、成り立ちについて学習した後、例文を、熟語を使って書き直すという活動に取り組んだ。
(例) わたしたちは、国に税金を納めなければならない。→国民には、納税の義務がある。
(例) 間違った字を書き直す。→誤字を修正する。
 升目のワークシートを使用したことにより、子どもたちは文が短縮されることを実感できた。

 この学習の後、子どもたちの作文の中には、熟語が多く使われるようになった。
「今日は、大縄跳びの練習を音楽の学習終了後にしました。結果、167回でした。記録を更新できたので、とてもうれしかったです。」

 今回の実践をふり返ると、様々な課題があることも確かである。熟語を使うことの良さは、文を短縮できることだけではもちろんない。しかし、子どもたちに熟語を使うことの効果を実感させることが、活用への意欲につながるということは検証できたのではないかと思う。「学ぶことの意味」「学ぶことの良さ」を少しでも多く実感することができる実践を積み上げていきたいと思う。
(長浜市立長浜南小)