▼話すこと・聞くことの指導の成果は多様な学習活動へ広がりをみせるようになった。スピーチや話し合いの形式から、討論会・パネルデイスカッション・ポスターセッションからプレゼンテーション。勿論、デイベートは珍しくなくなった。これらは、話す力を育てることが目的であるが、それ以上に、活動を経験するということを軸にした方がいいのではないかと思っている。一度や二度の発表経験で学年が目標とする力を育てるというのは難しいからである。気楽に繰り返す方が効果がある。

▼参観をしたポスターセッションの授業もそうであった。宮沢賢治の作品を読み、紹介するという活動が仕組まれていた。授業は、話す側と聞く側に分かれ交代で行われた。発表の概要はポスターに書いているので、それを読み上げる子もいれば、アドリブを交えて話す子もいた。

▼話すこと以上に、子ども達が発表を意識して作品を読む、まとめる、感想を書くという活動が印象的であった。話すことを目的にした学習の効果であったから。「私は宮沢賢治の作品を30冊以上読みました」と、指導をするために、子どもが選び読むであろう図書をたくさん読み込んだ青年教師の言葉が印象に残った。ポスターセッションという活動の魅力が開発した学習成果は話す力の育成を超えていた。(吉永幸司)