お願いします お願いします 礼!〜挨拶を変えてみました〜
西 村 嘉 人

 長く教師をやっていると、子どもが入れ替わっていても「例年通り」で進めることが多くある。
 朝のあいさつや授業のあいさつなどはその最たるものであろう。私も、長らくそのスタイルに何ら疑問も感じず続けてきた人間である。

 10月に吉永先生に、
「附属では『お願いします』と教師が言って、子どもが「お願いします』と言って、それから礼をするのですよ。」
という話を聞いた。聞きながらも「すぐに真似をしたい!」と思うほどの強い印象を受けなかった、というのが恥ずかしながら、その時の話の聞き方であった。

 その話を聞いた後も型通りに、
「起立、礼、お願いします。」
の挨拶を続けていた。何となく違和感を感じ始めたのがひと月ほどたってから。「お願いします」の声がバラバラで、何となくいい加減な感じに聞こえだしたのである。気になり出すと困ったものである。子どもの様子を見てみると横を見ながら「お願いします」という子どもあり、座りかけに「お願いします」という子どもあり。殆どの子どもが「お願いします」を挨拶言葉と感じていないのではないかと思い出したのである。

 そこで、子どもたちに提案をして挨拶の仕方を吉永先生に教えてもらった方法に変えてみた。
「起立!」(当番)
「お願いします」(教師)
「お願いします」(子ども)
「礼」(号令なし)
教師は子どもの目を見て、子どもは教師の目を見て「お願いします」と言い合うだけで、授業の始まりが激変した。
・学習準備ができていない子を待って「お願いします」と教師が言うため、座るとすぐに学習が始められる。
・教師を見て「お願いします」というので、自然と声が大きくなる。
・目を見合っているので、礼が深くなった。
・座った後、すぐに学習が始まるようになった。
本当にプラス面ばかりなのである。

 ついでに、朝の挨拶も帰りの挨拶も同じように互いの顔を見合って交わすように変えてみた。これまた、しっかりした声で「おはようございます」「さようなら」が言えるのである。深々とした礼もちゃんとできるのである。
 挨拶は「交わすもの」。いや、挨拶の言葉だけでなく、挨拶は「心」を交わすもの、というとても簡単なことをこの動作で子どもとともに学んだ気がする。
 5年4組の挨拶は気持ちがいい!
(彦根市立城南小)