全校音読指導「落葉松」
吉 永 幸 司

1.全校音読指導の目的
 朝会や集会、入学式や卒業式など、節々で校長が話をする。それが、どの程度、理解されているかという習得状況を把握する機会は少ない。聞く力の実態を知ることを目的に実施した。
 指導の時間は1時間。内容は詩「落葉松」(北原白秋)を教材にした。(6年生が校外宿泊行事であったので実質は5年まで)

2.指導目標と指導形態
 指導目標を学年毎に次のように設定した。
○1・2年 学習活動を5つ以上、話すことができる。
○3・4年 詩「落葉松」を3連以上、暗誦することができる。
○5年 詩「落葉松」を4連以上、暗誦することができる。
 指導の場所は体育館。一斉指導の形態で、音読を繰り返すことを中心に展開する。
 尚、評価は、低学年は学習内容が家庭に伝えられたか。中高学年は翌日、覚えたところを記述するという方法にした。

3.教材及び教材選択の理由
 教材は「口の体操」と詩「落葉松」にした。B4用紙に印刷して授業のあと全校に配布した。(覚えようという気持ちで授業に参加し、進んでプリントを読もうという気持ちになってほしかった)
 詩「落葉松」を選んだのは、同じ言葉の繰り返しや1連が短く8連あり、好きなところが選べること。さらに五七調でリズム感があり音読に適していると考えたのが教材選択の理由である。

4.指導の実際(指導過程)
@口の体操「アエイウエオアオ」を繰り返す。「アカサタナ」を言ったり、色々な状況を想定して「あ」を声に出す。
A「落葉松」の詩を音読する。1連目を1年生に聞かせ、音読する。最初は「か・ら・ま・つ」と1文字ずつ声に出し、続いて「からまつ」と語として音読させる。
B1連目と2連目を2年生に声に出して読ませる。
C4年生に4連目、5連目を聞かせ音読をさせる。
D1連目から5連目までの音読を全校でする。
E8連までの音読を聞き、詩の特徴をみつける。

5.子どもへの期待
 声に出す機会を低学年に多くし、中高学年は音読を聞きながら覚えるという方法にした。
 教師と低学年のやりとりを自分の問題として聞いて欲しかったからである。
(京都女子大学)