学習の仕方を身につける
箕 浦 健 司

大造じいさんとガン」(光村5年)の学習から。

1 学習の仕方を身につける
 子どもが自ら教材と向き合い、一人ひとりの考えや思いを交流することによって、より学習が深まっていく。子どもを作品の世界に浸らせたい、夢中で読み深めさせたいと願い、小樽市立緑小学校の取り組みである「読みの10の観点」を活用し、実践した。

@どんな人物が出てくるのか
A中心人物は誰か
Bいつのことか
C場所はどこか(場所・場面)
Dどんなことが起こったか
E話の中で変わったことは何か
F話の中で大きく変わったこと(クライマックス)は何か
Gお話の図(人物関係図や心情曲 線)
H一文で書く(〜が〜によって〜する・〜になるお話)
I声に出して言える言葉・文(気に入った・工夫された表現、比喩、情景描写など)

 観点を明確にすることで、子どもたちの読みは意欲的になり、活発になる。明確な課題を一つずつ解決していくことが喜びに変わり、自ら学ぼうとする意欲が育つ。

2 主題文を書く
 子どもたちに、I「主題に迫り、一文で表すこと」をゴールとすることを伝え、進めていった。子どもたちは、「大造じいさん(中心人物)の心が、残雪が命がけでハヤブサから仲間を救ったこと・傷つきながらも、じいさんの前では毅然とした態度でいたこと(クライマックス)でどのように変化した(結末)のか」について、自分なりの言葉でまとめた。
◇人は、仲間を思う優しさに接することによって、感動するのである。
◇人は、堂々とした態度に出会うことで、胸を打たれるのである。

 中心人物とクライマックスを捉えることはできても、心情の変化を自分の言葉で表すことに苦しむ姿も見られたが、最終的には全員がまとめることができた。このような取り組みを積み重ねていくことで、子どもたちの読みが深まるし、まとめる力、書く力も高まっていく。

3 語彙を増やすために
 物語文には、美しい情景描写や、巧みな表現が多く使われている。そこに注目することも、作品の良さに浸ることにつながる。自分が気に入った言葉や表現について、理由付きで発表し合った。
◇「感嘆の声」「会心の笑み」大造じいさんの気持ちがよく表れていると思うから。
 子どもが互いに、気に入った理由を説明し合うことでも、読みが深まり、語彙が増える。
(長浜市立長浜南小)