言葉の力を大切にした国語教室づくり
池 嵜 繁 伸

 新学期が始まり、子どもたちはやる気に満ちあふれ、学校全体が活気づいて見える。昨年度2年生を担任し、今年度は3年生担任である。昨年度、学年経営を一緒に行ってきた相学級の担任と共に学年を持ち上がることになった。クラス替えはあったが、同じ学年の子どもたちを2年間担任することになる。

 子どもたちが書いた『3年生になって』の作文の中に、次のような内容のものが数多くあった。
「生活科のかわりに社会と理科があります。理科ではじっけんをがんばりたいです。音楽ではリコーダーをがんばりたいです。」
「3年生はかん字が200字もあるし、かく数が多いから、がんばりたいです。」
「3年生でクラスがえがあって、わたしがまだよく知らない人がいます。早くなかよくなって、みんなであそびたいです。」

 子どもたち一人ひとりが、それぞれに新たな決意と希望をもっている。この子どもたちの新鮮な気持ちとやる気を大切にして、どの子もが笑顔で成長を実感できる1年間にしなければならない。そのために、新たなよい面をできるだけ多く見つけて認め、励まし、自信をもたせてやりたいと考えている。

 本学年は、家庭環境等の要因により様々な課題を抱える子どもたちが多く在籍している。自分の思いをうまく言葉で表現できないためにストレスを抱え、誤解が生じ、攻撃的な行動に出たり孤立したりしてしまうことが多い。優しく美しい言葉で人とよりよく関わり合う経験を意図的に積ませていく必要性を強く感じている。

 ことあるごとに言葉で自分の思いやその行動を取った理由を言い合わせ、「〜さん 〜くん」「〜をしてくれて、ありがとう」「〜をして、ごめんなさい」が自然に言えるように丹念に指導している。また、私自身も子どもたちの行動に対し「ありがとう」が言えるよう意識している。

 日々の教師の一言一言が子どもたちに与える影響は非常に大きい。同じ事象に対しても教師がどう言葉をかけるかによって、子どもがポジティブな感情を抱くかネガティブな感情を抱くかが大きく左右される。その感情は必ずその後の行動となって現れてくる。太陽の光のように愛情のある温かい言葉がふりそそぐ教室で、温かく強い心をもった子どもたちを育てていきたい。

 言葉で人とかかわり合うこと、言葉による考える力を高めること等、日々の学校生活や授業を通して言葉の力を強く意識した国語教室づくりに努めていきたい。
(彦根市立平田小)