第19回「新しい国語の授業」研究会
川那部先生の実践提案に学ぶ
杉 澤 周 一

 今の仕事柄、たくさんの授業を参観させていただいた。そして、個々の子どもが、自分の変容がわかり、学びの自覚をもてる授業を子どもの立場からつくりたいと切に願うようになった。
 そのために、
(1) 個々の子どもが自分の思い・考え、疑問等をもつ機会を確保する。
 発問後すぐに発言させたり課題提示後にすぐ書きまとめさせたりするのではなく、個々の子どもがじっくり探したり考えたりできる時間を確保する。結果、わからないでもよい。
(2) それを子どもが、子ども相互、先生、教科書、資料等に照らし、比べ、広め、深める。
 この時、話しっぱなし、聞きっぱなし、メモをしっぱなしにならないように留意したい。聞いたこと見たことを、(1)の自分に照らし、もう一度、本文を読んだり課題について考えたりすることで変容の契機になる。できれば書くことを通して。そして、さらにまた話したり聞いたりして、読み、考え、書く。もう一度、本文を読むことや考え書き足すことが大切。

 (1)と(2)は、大きな課題解決のために1つの単元を通して展開する場合や、1つの小さな課題や発問に応じて1単位時間で展開する場合もある。決まった型などないが、大まかにこのようなことを大切にしたいと考えている。

 川那部先生は、それを実現した。
 「ほんものの国語科の授業を構想する」ことについて、次のような5つの条件を挙げ、それを満たす単元構想を立て実践した。
 @育てたいことばの力が明確
 A言語活動の必然性
 B個々の学習過程を重視
 C理解したことを生かす場の設定
 D学習者自身の変容の自覚

 提案で「個→グループ→個→全体→個」という学習過程を単元全体で大切にしていることが説明された。最初の「個」のひとり読みで十分に「ため込み」、それを生かす交流、その後もう一度、自分の考えを練り、深めて熟成させる。

 それは、例えば次の学習場面で実現されている。
 第一次の「モチモチの木」の学習で得た3つと独自の4つの読みの視点で「半日村」を読み「モチモチの木」と比べ、「似ている度」を6段階で表す第二次の学習。
 感想を持ち、交流をした後、自分で読み取り比較ノートに書き、「似ている度」を数字で表す。話し合い後、もう一度、考え、「似ている度」を示し、その理由を書く。
 @〜Dを具現化した学習であり、子どもが、学びの自覚を得た姿がはっきりと浮かんだ。
(東近江教育委員会)