言葉の生活を振り返ろう
西 村 嘉 人

 担任する子どもたちとの国語の学習時間が残り少なくなってきた。まだまだ、子どもたちに伝えたいことが多く、毎日忙しい日々を送っている。

 2月教材に「言葉っておもしろいな〜わたしたちの言葉」(光村6下)という単元がある。毎日使っている言葉について考えてみよう、というのが単元設定の意図である。
 卒業を目前に控えた子どもたちに是非とも「言葉」について考える機会を持たせたいと感じていたところであったので、指導計画を前倒しにして学習に取り組んでみた。
 わたしが教材としての魅力を感じたのは、資料として載せてある宮地裕氏の「言葉の橋」である。

 子どもたちに、
「この文章を読んで、言葉って○○と表現してみよう。」
と学習課題を提示した。課題についての話し合いでは、
C ぼくは、この資料から「言葉の大切さ」を見つけました。言葉は人に楽しいことやうれしいこと、また、怒りや悲しみなどを伝えるもの、そして、人と人とをつなぐものなので、もし、言葉がなかったら自分の気持ちを伝えられません。だから、人と人をつなぐ言葉は大切など思いました。
C ぼくは、言葉の奥深さを感じました。言葉は、奥深くて本当の言葉なかなか分からないことが文章を読んで分かったからです。
 子どもたちからは、他にも「言葉の不思議さ」「言葉の面白さ」言葉の難しさ」「言葉のつながり」「言葉の役割」などの意見が出てきた。

 さて、単元の終末は、自分の言葉の生活を振り返って「よりよいことばの遣い手になるために」をテーマにした作文の学習である。これまでの生活の中の「言葉にまつわるエピソード」を思い出しながら、言葉遣いについて考えさせたいと考えた。
(児童作文例)
 言葉は、受け取り方によって意味が全くちがいます。「アホ」と言われただけで真に受けて落ちこんでしまう人も、全く気にしないで落ちこんだりしない人もいます。
 「アホ」の受け取り方は地方によっても変わります。関東の人は「バカ」という言葉を関西の人の『アホ』と同じ意味で使っています。
(以下略)

 6年になって、埼玉県から転校してきた子どもの作文の冒頭である。4月当初は「吉本新喜劇」の言葉が飛び交っているとおどろいていた子どもである。単元のまとめに全員に紹介した作文である。
(彦根市立城南小)