詩を作ってみよう
西 村 嘉 人

  百人一首
         S・K
 先生が札を読み出すと
 みんなの表情が
 いっせいに引きしまる
 誰かが札をとると
 表情がゆるむ
 そんなことのくり返し
  参観日
         W・N
 親が見ている
 下手なことはできない
 簡単な問題でも
 手を挙げない
 いつものようにできないのが
 参観日の特徴だ

教科書に「表現のしかたを工夫して書こう〜感動を言葉に〜」(光村6下)という小単元がある。児童詩が5編掲載されている。
 いきなり、「詩を書いてみよう」と投げかけても経験のない子どもたちには荷が重いので、児童詩を詠むことから始めた。
「この詩が生まれたきっかけの言葉はどの言葉だと思う?」
と問いかけながら、詩を読んでみた。読みながら、表現のしかたにも触れていく。
「『小さい手』『大きい手』って何を表してると思う?」
「『真剣勝負のアルバム』って何のこと?」
 それぞれの詩の特徴的な表現を取り上げながら、表現の効果を確かめてみた。

 さて、実際に詩を書く段階である。教科書を参考にして、上に書いた「百人一首」「参観日」の題を提示し、
「真似をしてもいいよ。」
「同じような場面を思い浮かべて言葉を見つけてみよう。」
と声をかけながら、書かせてみた。子どもたちは、イメージを真似ながら詩らしきものを書いた。
 3日ほど間を空けて、今度は自由題で詩を書かせた。(その間に題材を集めるように指示をして)

  受験の日
         H・M
 シーン
 何も聞こえない
 聞こえるのは、 
 自分の心臓の音だけ
 ドクドク ドクドク
 キーンコーンカーンコーン
 さあ、テストの始まりだ。

 たまたま、題材集めを指示した3日間に、入学試験を受けた子どもが上のような詩を書いた。
 毎日、日記を書くネタ探しを続けてきた子どもたち。詩のネタを集めるのにも役立っていたようである。「書く生活」を続けてきたささやかな成果かもしれない。
(彦根市立城南小)