盲導犬に関する説明文と物語を読み重ねる
川 那 部 隆 徳

 盲導犬には、訓練士、パピーウォーカー(里親ボランティア)、使う人など多くの人たちが関係している。
 学習にあたっては、まず、説明文「もうどう犬の訓練」(東書3年)を読むことを通して、盲導犬に対する子どもたちの興味関心を高めるとともに、盲導犬そのものや訓練の様子についての概要をつかみ、事実を読み取る力の育成をはかった。
 実際の授業では、教材文に掲載されている写真を活用し、それらの写真が、本文に記されている盲導犬の訓練のどの内容に当たるかを吟味していった。現行教科書と旧版では、掲載されている写真が異なり、それらを活用することで、写真と言葉をさらに結びつけていくことができた。

 次いで、説明文にはあまり登場しなかったパピーウォーカーを主人公とした物語「がんばれわたしのアリエル」(大書3年)や、使う人と盲導犬との交流について描かれた物語、絵本「ベルナの目はななえさんの目」(童心社、事実をもとに描かれたシリーズもの)を読んだ。
 パピーウォーカーがどのような思いで盲導犬を育て、お別れをするのか。盲導犬を使う人は、どのような思いで、盲導犬と暮らしているのかといった心情を読み取った。また、説明文での学習を生かして、物語からも、盲導犬に関する事実を読み取っていった。

【物語を読み比べる場面】
T 「がんばれわたしのアリエル」には、どうして「わたしの」というのが題に書いてあるのかな。
C めぐみが、自分が育てた大事な犬だという気持ちが込められているのだと思う。
C アリエルが、家族の一員だからだと思う。(中略)
T じゃ、「ベルナの目は、ななえさんの目」というのは、どういう意味かな。
C ななえさんの目の代わりをベルナの目がしているということ。
C ななえさんは目が見えないから、ベルナがいつもななえさんのそばにいるという感じがする。
C それは、「アリエル」でも一緒だと思う。
T 二つの作品を比べて考えたんだね。どういうところが、一緒なのかな。
C パピーウォーカーのめぐみも、いつもアリエルのそばにいたと思う。だから、「わたしの」とついているのだと思う。(後略)

 説明文や物語を読み重ねることによって、事実をもとにしながら、盲導犬に関わる人たちの思いを広く、深く、しかも人物に寄り添いながらとらえることにつながった。
(滋賀大学教育学部附属小)