「大事なことを読み取ろう」と「図鑑に表そう」(読むことと書くことの関連)
川 那 部 隆 徳

 「チョウがかえった。」「青虫から蜂の繭が出てきた。」等、4月来3年生の教室には驚きと感動の声が連日のようにこだました。メダカ、モンシロチョウの幼虫、アゲハの幼虫、カメ等、様々な生き物の飼育を通して、子どもたちは生き物の成長の神秘と不思議を体感していた。それ故に、子どもたちは生活経験を生かしながら、各々の不思議に注目し、興味深く昆虫の生態に関する説明文を読み進めていくと考えた。

 「自然のかくし絵」(東書3年)では、トノサマバッタやゴマダラチョウの幼虫など保護色によって身を守る昆虫が取り上げられている。第一次では、「昆虫のふしぎ」に興味を持つことを大切にしながら、教材文の各段落の大事なこと(昆虫の身の守り方の特徴)を読み取り、保護色について整理した。 第二次では、教師が提示した資料を読んで、色と形について発見した「昆虫のふしぎ」を交流し、さらに身の守り方の特徴を「昆虫のふしぎ発見図鑑」にあらわしていくことを主な学習活動として位置づけた。

 保護色以外にも、体の色や形に関して、次のような身の守り方をしている昆虫がいる。
 ・鳥がきらう虫(ハチやテントウムシ等)に似ている。
 ・虫らしくない色や形をしている。(鳥の糞や木の枝などに似ている)
 ・おどし模様(動物の目を思わせる形など)をもつ。


 以下の児童作品は、第三次において様々な資料を調べてまとめた「昆虫のふしぎ発見図鑑」の一節である。

 「イボタガ」−フクロウやキツネの目と・・・
 イボタガというガのもようをじっくり見ていると、ある鳥や動物の目に見えてきます。
 さて、そのある鳥や動物の目は何でしょう。じつは、フクロウやキツネの目に見えてきます。フクロウやキツネの目に見えてくるとなんだかイボタガを食べる鳥はこわくなってきて、にげてしまいます。 このように、イボタガは、身を守っているのです。すごいですね。

 以上のように、教材文や資料を参考にしながら、「昆虫のふしぎ」を図鑑に表すといった読むこと、書くことの各領域を関連させた学習を展開した。特に、資料の説明書きの中から昆虫の身の守り方の特徴を読み取り、それらを自分なりの言葉で表現することを重視することが国語科の学習として成立条件であろう。
(滋賀大学教育学部附属小)