説明文の教材研究(1)「イースター島にはなぜ森林がないのか」
吉 永 幸 司

1 題名から内容を予想する
 教材研究は指導を前提としているので、教えどころや教え方を絶えず念頭に置くことが多い。
 題名「イースター島にはなぜ森林がないのか」を読むだけで、説明の方向がはっきりしている。
 「たんぽぽのちえ」「ありの行列」あるいは「おもちゃの作り方」「じどう車くらべ」等とは少し違うことに気づく。 また、「イースター島はどこにあるのだろう」「森林がない島」ということが題名から読み取れる。説明文を読む前に既に課題をもつことができる。

2 問いと答えの文章を探す
 予想としては「イースター島に森林がない」ということを説明し、「なぜ森林がないのか」という問いへ導くという筋道を思い浮かべる。文章を読むと「イースター島の森林はなぜ、どのようにして失われてしまったのだろうか」となっている。「ない」と「失われる」の違いが気になるので辞書で調べる。
 次に、答えの文を探す。「このように」という文章を子どもは探すだろうと学習の状況を思い浮かべながら読み進める。
 「このようにしうて、三万年もの間自然に保たれてきたヤシ類の森林は、(略)」と問いに対する答えを説明している。一応の完結である。従って結論を導くまでの内容を丁寧に読み進めていけば内容は理解できる。

3 筆者の意図を読み取る
 教科書で学ぶ説明文の多くは、説明する事柄を通して筆者が伝えたいものを奥にもっているのが普通になっている。筆者の意図である。教材では「このように」と今まで述べたことを整理した後、現代の状況と似ていることを「今後の人類の存続」という表現を通して述べている。
 筆者の意図を理解し、説明の事柄を生かして、「私はこのように文章を読み、理解をした」というまとめを構想しながら、教材を読み返すことが大事である。
 そのためには、@何文字くらいでまとめるとよいか、Aまとめの文章構成はどのようにするか、B語としてはどんなものが大事であるか等、「まとめの文」に関係する要因を考える。いわゆるモデル文を自分で作る。このモデル文が具体的な目標というわけである。
 単語や一文で答える学習から、まとまりを意識して書かせることを念頭において教材を読んでいく教材研究にしたい。
(京都女子大学)