▼少し前に「期待される人間像」が語られたことがあった。その結果どうだったのか気になるが最近ではあまり話題にならない。選抜高校野球では「希望枠」が設けられた高校が話題になった。「期待と希望」はよく似た意味を持っている。しかし日常的には「期待」を使う機会が多い。

▼スポーツ選手に好記録や活躍を期待する。漢字テストで百点を期待する。遠足の天気を期待する等、様々な場面で期待度は高い。それは、こうなってほしいという願望も込めている。自分が中心で、好都合になることの意味がある。「期待通りにいかなかった」「期待を裏切る」という言葉がつきまとう。更に、期待通りにいけば次の期待が待っているので負担だけが大きくなる。期待につぶれるという言い方もある。

▼「希望」には「外れる」という使い方はしない。希望は向かうべき方向である。だから、少々の失敗は気にしない。夢があるから、失敗や思う通りにいかないことがあれば、それを乗り越えていくという逞しさがある。向かうべき相手が自分なので回りからのお節介も少ない。

▼教育は「期待」より「希望」が似合う。期待は「できる・できない」を問題にし重荷を感じることもある。「希望」には夢あがる。子どもには希望がある。(吉永幸司)