巻頭言
かみひこうき とばしたよ
宮 本 義 久

 子どもたちが、話したい、書きたいという意欲を持ちながら活動し、表現したことへの充実感を得る。そんな授業を目指して一年生で取り組んだ実践を紹介します。

 本実践では、紙飛行機で遊んだ様子を幼稚園や保育園の先生に、お手紙で知らせることに取り組みます。
 紙飛行機を題材にすることは次のよさがあります。@子どもたちにとって、活動そのものが楽しい。A毎回飛び方がかわるので、「私が飛ばしたときは こうだったよ」というこだわりが生まれる。
 また、手紙を書く相手として、幼稚園や保育園の先生を設定するのは、@小学校入学までは身近な存在であり、相手を具体的にイメージできる。A今ではなかなか会いに行くことができず、手紙を書く必然性がある。等のよさがあります。

 実際の授業は次のように行いました。
 まず、紙飛行機を飛ばす時間を一時間設けます。ここでのポイントは、二人一組での活動にすることです。「最後に紙飛行機大会をするよ」と言うと、ますます盛り上がります。
 授業の導入では、園の先生からのお手紙を紹介します。手紙には「紙飛行機で遊んでいる様子をくわしく教えてください」というメッセージが書いてあります。「紙飛行機で遊んでいることを書いて、先生に喜んでもらおう」と、子どもたちは意欲満々です。

 そこで、まず手紙を書いてみます。しばらくして、「どう、くわしく書けそうかな」と問いかけます。子どもたちの反応は様々です。そこで、「一緒に飛ばした友達とその時のことを思い出してみよう」と指示します。二人一組で飛ばしたことが、ここで生きてきます。
「最初はまっすぐ行ったけど、後でぐーんと曲がったよね」という対話をしながら、もう一度手紙を書きます。

 そして、二度目の手紙でくわしくなったところを全体で出し合います。それを教師が整理しながら書いていきます。すると、「話したことを書くといいよ」「聞いたことを書くとくわしくなるよ」「よく見てかいたことが増えている」など、五感を使って書くことが、くわしくなる秘密であることを見いだしていきます。
 こうして、くわしくなった手紙を園の先生に送り、自分が書いたものが役に立ったことを実感することができました。
(熊本大学教育学部附属小学校)