話せるように子どもの身になって
杉 澤 周 一

 この1年、「話すこと・聞くこと」の領域の授業をたくさん参観させていただいた。
 改めて感じたのは、子どもは潜在的に話す意識も能力も持っていること。それを念頭に、子どもの関心・意欲を引き出す指導を大切にしているクラスの子どもたちに育ちが見られること。多くの先生方が“話し合い”を活性化させたいと願っていることである。
 私もそう願いながら、「話す・聞く・話し合う」力を身につけさせるために、次のようなことを大切 にしてきた。

「はずかしい、まちがっていたらいや」などの精神的な壁を取り除くための指導を日常化する。
○柔らかい接し方で、教師と子どもが、子ども相互の間を心を乗せた言葉が往復する中で育つ。ほめて、ほめて育てる。特に事始めは、それに徹する時期。
○学習は、間違うこと、わからないこと、自信のないことから始まることが普通にある教室に。「間違うと印象深くなり、いい学習になるよ。みんなも間違ってもいいよ」と繰り返し、よさに転じる。「自信のないという人から始めようか」「話せるところまででいいから話してみようか。後は先生か誰かがつなぎます」「何がわからないか、どんな迷いがあるかを話してみようか」など、わからないことや迷っていることからスタートする。みんなで徐々に学び合う場であることを日常とする。
○「もっと、大きな声で…」ではなくて、小さな声でも発言し参加しようとしたこと、伝えたいことがあったこと、話したいという心などを認め、ほめたい。
○安心して話せる機会、声を出させる機会を作る。「□□さんと同じで(似ていて)〜です」これなら話せる子どもは多い。「同じような思い・考えをもつ人も続いて話してみよう」全く同じでも認め、話せるときにこそ機会を与え、何人でもテンポよく発言させる。意外に時間はかからない。

「話し方がわからない」などの技術的な壁を取り除くため、モデルを示し話し方を教える指導。
○めざす話し方をまねをする。
○話す時のメモは「、」「。」で行を変えて書いておく。
○話し始めの言葉・文を「次のように話し始めてみようか」と見本を示すと安心して話す。

「話したい・聞きたい」という関心・意欲、必要性を耕す。
○話すこと・聞くこと・話し合うことのよさを心・意欲を高め持続させる学習を組む。

子どもの身になって、楽しく弾む活動、魅力的な教材を開発する。
○小さな討論を仕組む、など。
(東近江市教育委員会)