国語辞典っておもしろい〜同音異義語で駄洒落を作ろう!
西 村 嘉 人

 教科書(光村5下)にある小単元「同じ読み方の熟語」の学習でのこと。教科書の例文を読んでいた子どもが、
「先生、これって親父ギャグばっかりやで」とつぶやいた。
「教科書に、親父ギャグがいっぱいやん!」と他の子どもが続けた。確かに、
「先生のチームが、先制点を取った」
「酸性雨を防ごうという意見に賛成する」
「こん中採集に夢中になって、最終バスに乗りおくれた」
と、駄洒落の連発である。

 国語があまり好きでない子どもたちも、教科書を熱心に見ながら、笑い出した。
「これは使える!」と考えて、
「明日は国語辞典を使って、駄洒落作りを楽しみましょう!」
と、次時の予告をして学習を終えた。

 いつもなら、誰かは忘れてくる国語辞典だが、珍しく全員の机に用意されている。まず、駄洒落作りのルールだけを簡単に説明した。
○同じ読み方の熟語が2つ以上入っていること。
○ちゃんと意味が通る文になっていること。
の2つである。

 早速、国語辞典を片手に駄洒落作りである。辞典をぱらぱらめくりながら、自分の手に負えそうな同音異義語を探していく。辞典に示されている例文を読みながら、同音異義語を組み合わせて、短文を作る。その繰り返しである。
 いくつか作っていくうちに、だんだん要領を得てきたようで、満足できる駄洒落ができて、友達に見せるようになってきた。
「おもしろ! これ、いいで。」
「いっぱい作れた!」
あちこちから、子どもたちのつぶやきが聞こえだした。

 時間の終わりに、自信作を短冊に書いて教室掲示をして授業を終えた。
 ・高級な硬球を投げる。
 ・点字を使った紙を掲示板に展示する。
 ・航海したことを後悔する。
 ・一名の人が一命をとりとめる。
 ・長官が朝刊を読む。
 ・この期間だけの機関車に乗って帰還する。

 すぐに、子どもたちが集まって駄洒落の品評会が始まった。
「これ!すごいおもしろいで」
「3つも使って、うまく作ってるなぁ」子どもたちの関心も上々である。
 授業後の子どものつぶやき。
「先生、国語辞典って、結構おもしろいやん」が、一番の収穫かもしれない。
(彦根市立城南小)