お話を楽しむ(2) 「スーホの白い馬」(2年)
吉 永 幸 司

5.展開を表す文を理解させる
 お話を読む時の間合いは、その教室が作り出す雰囲気である。最初の段階で少し時間をかけたので、早く読んでほしいという気持ちが強くなっていくのを感じた。そこで、少年がスーホを連れて帰った場面は一気に読んだ。
 「体は雪のように白く、きりっとひきしまって、だれでも、思わず見とれてしまうほどでした。」の文には安心をしたような表情で聞き入っていた。従って「あるばんのこと」という言葉には不安感を持つ子もあり、おおかみと白馬の戦いを聞き入っていた。
 特に「これから先、どんなときでもぼくはおまえといっしょだよ。」を繰り返し読んだ。キーとなる文章と考えたからである。

6.山場へ続く場面で立ち止まる
 一気に読むところ、続きを予想するところを分け、子どもの聞き方に気を配りながら次のところで展開を予想させた。
@スーホが王様に「白馬を置いていけ」と命令されたとき。
A白馬がスーホのところまで帰ってきたとき。
 この二つにしたのはお話の山場であることと、予想しやすいと考えたからである。
 @では次のような反応があった。
  いやだと絶対ことわる。
  大事な馬だからいや。
  どんなことがあってもいや。
 このような反応が大勢を占めたのは、スーホと白馬の関係をしっかりと理解していたからである。
 Aは予想が難しいようであった。
  矢がいっぱいで痛そう。
  白馬は死んでしまった。
  スーホが助けた。
 反応は分かれた。それだけ次の話を早く聞きたいという気持ちの高まりを感じた。予想は期待を持たせる効果がある。

7.後半は止まらずに読む
 山場を読み終えた後は、立ち止まらず一気に読んた。
「悲しい終わり方だね。」
「助かるのではなかったのか。」
というの感想を述べる子があった。子どもたちの予想とは違った終末であった。
「人々のこころをゆりうごかす」「一日のつかれをいやす」等は印象に残らなかったようである。

 お話を「聞く」という学習の効果と限界をまとめると次のようになる。効果は、展開を予想でき、期待を持って次の話が聞けることである。限界は、言葉の一つ一つに立ち止まれないことである。子ども自らの力では無理なので考えさせたいという語句を選ぶ教材研究が大切である。
(京都女子大学)