3つの視点で教材を読む〜初任者研修〜
高 野 靖 人

 初任者研修の拠点校指導員として、2学期後半に取り組んだ研修を紹介する。

 担当している4校4名の初任者は、すべて4年生を担任しているので、計画的に実施する授業研修や一般研修は、同じ資料を用いて行っている。もちろん、研修の中では、各学級の実態や具体的な児童に即して話し合っているため、各学校によって若干異なった流れになることもある。

 さて、教材研究についての研修は、1学期から様々な形(「教材研究の進め方」等)で実施している。また、各学期に実施する研究授業に向けた取り組みの中で、具体的な教材研究の方法などについて指導している。

 今回は、国語の3学期教材(説明文「くらしの中の和と洋」)をじっくり読んで考えようという計画。まず、一般的な教材研究での心構えについて。今回は3つの異なった立場・視点を持つことを指導した。1つは、「個人の眼」で、一人の大人として今回なら素直に教材に出会い、文章研究をし、感想を持つ。2つ目は、「子どもの眼」で、我が学級の子どもならこの教材をどう読み、どうとらえ、どんな思いを持つか考える。そして最後は、「教師の眼」で、これまでの2つの「眼」で考えたことと学習のねらい等を合わせて、授業構想や指導計画を立てる。今回は、実践まで時間もあるので、発想程度のみ。

 いよいよ具体的な研修開始。教科書は使わずに、準備しておいた教材のコピー(形式段落に番号を付加済み)をじっくり読んだ後、文章構成図を書かせた。序論・本論・結論に分けることだけ指示しておく。序論・結論は四名とも同じ。本論部分の段落相互の関係図等でやや異なりはあったので、それぞれの解釈を説明させた。合わせて要旨を確認したり、それに対する感想を交流したりした。次に、学級の子どもならどう読むか、という話し合い。全体傾向と課題を持つ個人とに分けて考えた。

 最後に、自分なりの授業構想。教科書を使っていないのは、教科書の単元構想に左右されず、自由に発想してほしかったからである。やはり、別の「和と洋」を調べてディベート風に話し合うという教科書単元と重なるものが、多かった。調べる対象や話し合わせ方で、微妙な違いはあった。

 また、調べた内容を説明文に書くという学習を考えたものもいた。文章構成の手本は、もちろんこの教材が担う。

 この後、大津市の国語部会で夏季研修会に用いた資料も渡し、3学期までにもう一度、教材を読み授業構想・指導計画を確立することを約束して、研修を終えた。
(大津市立仰木の里小)