第11回「新しい国語実践」の研究大会山梨大会
「活用」に焦点を当てて協議
吉 永 幸 司

 「新しい国語実践」の研究会山梨大会の「話すこと・聞くこと」の分科会に司会として参加した。提案は3本(小学校2、中学校1)。
(1) 学年(小2)の国語科の年間指導計画の中に提案する実践を位置付けたもの。
(2) 事前に国語科学習について、子どもたち(小6)にアンケートを取り、実践に臨んだもの。
(3) 学校(中学校3年間)の実践の系統と積み上げを図って実践を位置付けたもの。

 ただ授業の様子を記録しただけにとどめず、なぜ今この単元・題材で授業をするのか、その意義や評価の観点などを年間指導計画との関連から位置付けている。
 「やった、やった」「あれもやった、これもやった」「で、どうですか」という記録的提案で終わるのでなく、その実践の必然性や何が育ち、どう次に発展させようとしているのかをも含めての提案である。それは、今大会の研究協議主題を、授業でつけた国語力の「活用」に焦点を置いたことによるのだろう。

 昨年の滋賀大会では、「目標・指導・評価をつなぎ・みなおす」ことが確かな言葉の力がつく国語実践には必要であるとの観点からの実践提案と研究協議を求めた。
 「目標・指導・評価」は、相互関連的・総合的であるべきであると捉えることで国語科の授業が他の 教科や子どもの言葉の生活に生きる力を培う言語学習の場になるとの考えであった。この「生きる」・「生かす」は、今大会で言う、「活用」にもつながり、より課題が明確にされたように思う。

 そういう意味で、分科会協議は勉強になった。研究協議で話題となったこと。
○年間計画の単元の相互関連を明確にするべきである。1学期の実践が2学期の実践にどう関わるのかもっと明確にするべきだ。でないと「活用」という主題に応える提案にはなりえない。
○事前アンケートだけでは不十分、事後とともに検討してこそ授業の改善に生かすことができるはずだ。また、アンケートの取り方は十分に検討しておくべきである。
○系統性を大事にする以上、「系統性とは?」と実践を通じて絶えず見直し、修正・補足・改訂の歩みが必要。その過程こそ提案内容にふさわしい。

 残念ながら、議論はここまでで時間がきてしまった。参会者の意見や実践を交流しつつ議論を深めるまでにはいたらなかったことは司会者としての反省点である。今後の参会者の実践に期待したい。
(大津市教育研究所)