第11回「新しい国語実践」の研究大会山梨大会
「読むこと」の分科会
蜂 屋 正 雄

 「読むこと(説明的文章)」の分科会では、大阪の村川先生の実践提案「基礎・基本の力が確かに育ち、その力が生きる国語科学習の工夫〜「環境未来へ発信!」の実践を通して〜(「イースター島にはなぜ森林がないのか」東書6年上)が心に残った。

 自然や環境に関心を持たせながら、未来の私たちとほかの生き物や地球との関わりについて考えさせる教材である。
 子どもたちには「環境新聞を書く」ことが学習の最終目標として示されている。村川先生はその支援の方法として、いくつもの学習を用意されていた。

(1) 「一人読みガイド」を手がかりにしての一人読みから、子どもの読む力を見る。
 接続語・文末表現・文章構成・要約について、プリントへの書き込みから、個々人の実態を単元評価チェックリストに書き込み、実態を把握する。

(2) コース別少人数学習で課題を選択させ、目的意識を持たせる。
 単元評価チェックリストを元に、「振り返りコースガイド」を作成し、子どもたちが自分で「補充的学習」か「発展的学習」かを選択できるようにする。
 特に、補充的学習コースには、説明文を歴史年表の形で書き換えをしたり、森林消失の原因を図にまとめたりする学習活動をする中で、説明的文章の要旨・接続語や文末表現に気づけるように仕組んである。

(3) 副教材「マンモス絶滅のなぞ」
 発展的な学習では、比べ読み。 補充的な学習では、前教材でプリントで学習した「接続語に注目しながら要旨をまとめる」「文章構成を確認し、筆者の主張を読みとる」学習を繰り返し行う。

(4) 環境新聞を書く。
 それぞれのコースで使用したプリントのコピー、筆者の意見、自分の意見、読みとった事実などを書き、新聞として完成させる。

 子どもたち一人ひとりの表現方法で、学習したことを表現してあり、このような授業をしたいと思わせる提案であった。
 何より参考にしたいのは、(1)の一人読みでの子どものプリントを見て、支援のポイントを見定め、コース別学習の中で学習課題として子どもたちに提示していき、授業が展開されている点である。

 大阪の曽我先生の「社説や時事問題から、自分の考えを生活に返せる子どもを増やす」、創価大学の長崎先生の「説明文の学習では、要約を学習目標にしない。表現(新聞やレポート)を学習目標に」という助言も納得の一言であり、収穫のある分科会となった。
(草津市立笠縫東小)