教科書教材を教材化する
杉 澤 周 一

 教科書教材やその他の学習材料を意図や目標、子どもの実態に応じて教材化することについて教師は意識を高める必要があると感じている。
 教科書に示されいるのは素材であり,それを教材化して授業づくりをするのは様々な実態をもつ子どもと日常を共にしている教師である。

 2年で、順序よく書いたり話したりしてわかりやすく伝えることができるようにする教材がある。「はじめに」「つぎに」「さいごに」などの接続語を使うことも学ばせる。
 教科書には絵地図が示され自宅から目的地へ行く道順を書いたり話したりするように示されている。  その絵地図を使って、目標に達成する学習活動を展開するのも一つの方法である。ただ、それぞれの学校、学年の実態、年間計画等に応じて、つけたい力やつけるべき力と関わって工夫する必要があるのではないだろうか。

 例えば、実態から楽しく学習させたい。また、実際的な場面で学ばせ、日常に生きる言葉の力に結びつけたい。このような意図があるとしたら、次のような学習展開も考えられる。
 単元の前半は「この教科書の絵地図で、自宅からどこに行ったでしょう?」というクイズを出し合う活動を設定し、個々の子どもがその出題文を接続語を3つ使って順序よく書き、グループで出題し合い相手に通じる文章かどうかを確かめ合う。そして、みんなの前でクイズを出して当ててもらって相手に伝わった喜びを持たせる。
 後半は、絵地図の学習を生かし、校舎内で出題文にしたがって足を運んで目的の地にたどり着く。さらに,校区を思い描いて、出題文を手に屋上から校区を見下ろして道をたどって目的地を当てる。
 教科書教材と校舎と校区とクイズという学習材料で、楽しみながら目標をめざすための教材化ができるのではないだろうか。

 討論会の論題は、教科書の例が子どもの実態に合わなかっので関心・意欲の高まるものや話す材料がたくさん思い浮かぶような身近なものを提示した。立論や質問等の進行も含め、教科書は例示であって、意図や目標、実態等に応じて、目前の子どもの学びのためにはアレンジする必要があった。
 ディベートを教えるのではなく討論に関心を持たせ、理由や根拠あげる話し方と討論で考えを広め深めることのよさに気づかせる学びをさせるために、ディベートの形式を活用して教材化したオリジナル討論会で学ばせたかった。

 意図や目標,実態に応じて授業をつくろうとすると、自ずと教科書教材を化けさせたくなる。
(東近江市教育委員会)