▼少し距離をおいて子どもを見ていると発見が多い。羽目を外して集団に馴染めずよく注意を受けている子。今の状況を理解する力が弱いので、自分の思いのままに動くのであって、自制する力を育てる必要があると判断すれば道筋が見えてくる。全体が見えるような役割を与えることで、責任感が生まれる。かつて出会った山本君(仮名)も考えより行動が先の子であった。山本君に先生係として教室の細々としたことを任せた。じっとしているより何かをしていたい子であった。

▼反抗はしないが、積極的に活躍をしてクラスを盛り上げようという意欲を感じない子がいる。能力はあるが、どのように自分を発揮するとよいかが見つからない子である。学級が落ち着いていると目が向くが、そうでないと、意識に上らない子である吉原さんは、文章は書ける、記憶力も高い。しかし、進んで意見を述べるというような表だった活躍はしない。その子は今、日記指導に熱心な教師である。「小学生の頃から赤ペンで○がしたかった」「日記に赤ペンでコメントを書きたかった」というのが教師になる動機の一つだったと聞いたことがある。

▼教師はいつも見られている。(吉永幸司)