いい話?あったかい話? 「わらぐつの中の神様」
西 村 嘉 人
物語文の教材が少なくなった。 2学期に学習する教科書教材は「わらぐつの中の神様」1つである。 5年生の子どもたちにとっては、今までに経験のない長文の教材である。 とりあえず、教材文の長さを実感させることから入ろうと、延々と範読をした。子どもたちが物語の世界に浸ってきているのが分かる聞きぶりである。文字を目で追いながら、ひたすら耳を傾けている。十分に間を取りながら、ゆったりと読むこと約25分。読み終わったときは、さすがに 「長い!」 の声が上がった。 残りの時間で(国語の時間の始めに約5分間の漢字練習を入れているので10分程度)、感想を学習ノートに書かせた。普段なかなかノートの行が埋まらない子どもも黙々と書いていた。 次時は、全文通読と第一次感想の交流。この時間までに子どもたちの感想を読んでおいたので、感想交流は次のように教師中心で行った。 「昨日書いた感想を読んでみると、かなりの人が『いい話』と感じたようです。それから、『いい話』に近い表現で『あったかい話』『やさしい話』というのもありました。」 聞いている子どもたちは納得顔である。 「でも、感想をくわしく読んでみると『いい話」でも、その根拠はいろいろなんですね。おみつさんを中心に考えている人もあるし、若い大工さんの考え方に感心している人もありました。マサエの言葉に感心した人もいます。」 「それから、『おもしろい話』『びっくりした話』というまとめ方をした人もいます。」 この説明に子どもたちが、 「この話で『おもしろい』はないやろう。」 と反応してきた。この発言に応えて、「おもしろい」と表現した子どもに説明させた。 「おみつさんがおばあちゃんで、おばあちゃんが自分の思い出話をしていることが後で分かっておもしろいなあと感じました。」 説明を聞いて、「なるほど!」と納得した様子である。 「今、話をしてきたように同じ物語を読んでも一人一人の読み方や感じ方は様々です。『わらぐつの中の神様』の学習では、一人一人がどんなふうに物語を読み、どんなふうに感じたか、その違いを学び合いたいと考えています。」 学習テーマを子どもたちに説明し、初めての「一人読み」へ子どもを導いた。 (彦根市立城南小)
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