自分の力で読むこと
北 島 雅 晴
「学習の進め方が分からない。」 国語の学習でよく聞かれる子どもの声である。例えば算数ならば、教科書をていねいに読み、問題を解いていけば、学習できたという思いが残る。一方、国語の場合は教材文を読んだ後どうすればよいのかが分からないことが多い。自分の力で文章を読み切ったという思いの残る授業にしたいと考えてみた。 「宮沢賢治」(東京書籍6年下)という教材がある。前半は宮沢賢治の作品の紹介、後半は賢治の生い立ちについて述べられている。「作家と作品とを関わらせて読む」ことが学習のテーマである。今回は、4つの設問を用意し、ノートにまとめていくというきわめてシンプルな学習展開にした。 (1) この文章には、どんな作品が紹介されていますか。その中で、自分が読みたいと思ったのはどの作品ですか。 (2) 賢治が大切にしていたことは何ですか。文章の中から7つ選んで箇条書きで書きましょう。 (3) この文章を読んで、賢治をどのような人だと思いましたか。150字程度でまとめよう。 (4) 「作家と作品とを関わらせて読む」というのはどういうことだと思いますか。次の言葉に続けて考えを書きましょう。 「作品のよいところを見つけるだけでなくーー」 (1)は、前半部分の確かな読み取りとともに、作品を読むことへの期待を膨らませることがねらいである。 (2)は、後半部分の確かな読み取りをねらいとしている。 (3)は、文章全体を読んで、自分の感想をまとめることがねらいである。 (4)は、(2)と(3)をもとに考えるのだが、今後の学習につなげるものとなる。(この後、1人の作家を選び作品を読む学習へと発展する。) (1)が1時間、(2)が2時間、(3)(4)で1時間、計4時間の学習である。 (2)では、自分の選んだ7つが本当にそれでよいのか自信がないという子が多かったので、友達同士でノートを交流する時間をとった。 「ぼくは、A君と同じ箇所が4つある。」 といった比較することから、 「これが、ちょっと自信がないのだけど、これでいいのかな。」 と、相談をする子、 「この言葉は考えなかったけど、大切だ。」 と、友達のよいところを認める子の姿も見られた。 これから、(4)を交流しながら、作品を読む時のポイントを探っていく。学習活動としては、算数の ようにすっきりとして分かりやすく、集中して取り組むことができた。 (草津市立志津小)
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