巻頭言
「協同で書く」ということ
山 本 敦 子

生きるは 人を感じるということ
心が有るということ
みんなから勇気をもらうということ
前を向くということ
汗をかくこと
生きるとは 「命」ということ

三十四人一人一人が奇跡を起こすということ

 これは、平成十七年度新潟県見附小学校六年二組の子どもたちが創った「生きる」という合詩(がっし)の第七・八連である。谷川俊太郎の「生きる」をモデルとして、三十四人で創作したものである。

 総合「見つめよう!考えよう!創ろう!私の未来!!」の学習で、「こうなりたい!!」という人の生き方を調べた。国際交流をしている外国人の方から、「人のことを知るためには、まず、自分を知る」という視点を得た子どももいる。女性で一人で起業した方から、「一日一日を精一杯生きる」ということを教えてもらった子どももいる。どの子どもも、今の自分と、なりたい未来の自分とをすり合わせて、未来を志向した。

 その思いを、卒業に向けて、今まで育ててもらった感謝の気持ちを込めて、お家の人に伝えようと合詩を創った。

 第一連から第六連までは、一人一人が創った一行詩である。各グループで、それぞれの一行詩の順番を考えたり、それらを「くくる」一行詩を創作したりした。そこでは、この言葉は、この行為の「先にある」とか、この言葉とこの言葉を「まとめる」とこの言葉になるといった「グループ対話」がなされた。

 冒頭の第七連は、各グループで創作した一行詩を「全体対話」で並べ変えたものである。

 そして、冒頭の第八連が、個人の一行詩とグループの一行詩をくくった、最終行(最終連)である。
 「大好きなバスケで故障続きに悩んでいた子ども」は、「スキー事故で九死に一生を得てスキーを続ける教師」から、「あきらめない」という価値を得、それを詠っている。「中学校で通常学級に入る予定の子ども」は、「『生きる』とは嬉しいことが起こるということ」と未来への希望を詠っている。

 本当に伝えたいことを「協同で書く」時、そこには思考がはたらく。本当に伝えたいことを「協同で創る」時、そこには、「対話」が必要になる。
(新潟県三条小学校)