本棚  「よさ」を生かす教師力・授業力・実践力
吉永幸司 著 BK1
明治図書 2006.4 2500円
「よさ」を生かす教師力・授業力・実践力

 「教師力」は、子どもの意欲を引き出し、子ども理解を軸にした教室作りや授業作りに働く力である。教師に求められる総合的な力である。
 「授業力」は、教育内容の本質を見極め、授業を構想し、確かな力を育てる筋道を見通した力である。
 「実践力」は、教室の事実に学び指導力を高め、指導技術や指導方法を開拓する力である。

 これらの力を高めるための手がかりが、多くの事例を通して述べられている。
 たとえば、1年生の教室で騒がしくて授業が始められないとき、「とても、姿勢のよい人が3人いますね」と言うのと、「まだ、勉強の用意ができていない人が3人います」と言うのとの違い。
 たとえば、最初の感想を書かせるとき、「なんでもいいから感想を書きなさい」と言う指示と「最初に好きか嫌いか、面白いか、そうでないかなど、自分の感想を短く書きなさい。その後に理由を書きなさい」という指示との違い。

 だれもよい授業をしたいと思っている。そのためには、子どもの目の高さで考えること、自分の失敗を反省し、子どもから学ぶこと、そんなことを教えられる書である。(常諾真教)