作品のメッセージに注目する 「メッセージを読もう」 6年
川 那 部 隆 徳

 平和をテーマとした作品(物語や説明文)には、戦争の悲惨さを訴えかけたり、平和を希求したりする書き手のメッセージが込められたものが多い。それが、物語では人物の心情や場面描写によって巧みに表現され、説明文では具体的事実を挙げながら筆者の論を展開することで主張されている。
 そこで、本学習は、各々の作品が投げかけるメッセージやその表し方を比較することで、メッセージ性のある物語や説明文の特性を明らかにし、確かに主題や要旨を読み取ったり作品のメッセージを考えたりする力の育成を主眼とした。

【指導計画(全17時間)】
第一次 平和をテーマにした物語を読んでそのメッセージをつかむ。(8時間)
 ・ポスターや絵本、写真集などのメッセージを感じる。
 ・「石うすの歌」(旧光村6年)、「ヒロシマのうた」(東書6年)に込められたメッセージを読む。
第二次 平和をテーマにした説明文を読んで、そのメッセージをつかむ。(6時間)
 ・「平和のとりでを築く」(光村6年)や他の読み物を読んでそのメッセージを読み取る。
第三次 メッセージを込めた物語と説明文の表現の特徴について考える。(3時間)
 ・物語と説明文に込められたメッセージの表し方の特徴についてまとめ、解説文を書く。

【授業の実際(第三次)】
T 物語や説明文のメッセージの表し方には、どんな特徴があるでしょう。
C 明るい場面の後に暗い場面があって、その落差で暗さや悲惨さが余計に強調される。例えば、「石うすの歌」では、瑞枝や千枝子たちが楽しく過ごしている場面の次に、原爆が投下され瑞枝の両親がどうなったかわからなくなった場面が書いてあって、悲しみが強調されている。
C 「ヒロシマのうた」も、最初に原爆が落ちた広島の状態が描かれ、その後で、人物が立ち直っていく様子が書かれていて、原爆の恐ろしさや、人物が前向きに生きていこうとする決心の強さが強く感じられる。
C それは、説明文でも同じようなことが言える。「平和のとりでを築く」では、原爆ドームの原爆が落とされる前と後の様子を示すことで、原爆の恐ろしさが強調されている。(後略)

 「以前読んだ本をもう一度読み直してみると、やはりメッセージがあって、作者の伝えたいことがよくわかった。これからメッセージをつかみながら読書をしていこうと思う。」
 学習後の児童感想である。
(滋賀大学教育学部附属小)