ソーシャルスキル教育から
中 嶋 芳 弘

 子どもたちの基本的生活習慣が乱れていると感じる場面に出会うことが多くなった。
○朝、「おはよう」と笑顔であいさつができない。
○職員室に挨拶もなく走り込んでくる。
○休み時間に友達を誘って遊べない。
○些細なことで怒り出し、一度怒り出すと手におえない 等
 そんなわけで、職員室の出入り口に「失礼します。○年○組の△△ですが、□□先生に用事があってきました。……」等と、話し方を掲示して指導している学校も少なくないのではないだろうか。

 このようなことの苦手な子どもたちは、行く先、社会不適応や精神面での問題の出現頻度が高くなるという。つまり、コミュニケーション能力を高めることが求められているわけである。ソーシャルスキル教育は、もともと人づきあいの技能に課題がある子への指導として生まれてきたものだが、最近は通常学級における実践、考え方にも取り入れられつつある。

ソーシャルスキル教育を意識して「ポケットに国語教室」
   〜人の話に注意深く耳を傾けることが苦手な子の多いクラスで〜
(1) ヒントを2つ出して、それが何かを当てるゲームをする。
 例 第1ヒント ぴょんぴょんとびます。
   第2ヒント 耳が長い動物です。
 挙手した児童を指名。「それは、うさぎですか」「正解です」
 注意深く聞くことの大切さ。発表のマナーなど、クラスでねらうことを伝えておく。

(2) ワークシートを配り、問題作りの約束を伝える。
 [答え] [第1ヒント] [第2ヒント]
 2つのヒントで誰でも答えがわかるように書くことがこのゲームのポイント。〈答え〉を書かせ、〈ヒント〉は同じチームの他のメンバーに作ってもらうことにする。

(3) ゲーム中のルールを説明し、ゲームを開始する。
 チーム対抗で交互に出題しあい得点を競う形で進める。
 このクイズは、全員が答えられるはず。相手チームの答えた正答数が自分のチームの得点。相手が正しい答えが出せるように丁寧にゆっくり表情豊かにヒントを出すこと。ヒントを書いた子が出題する。

(4) 振り返りをさせる。
 しっかりと話すことやよく聞いて考えることがコミュニケーションのこつであることに気づかせ、これからの生活に生かしていく大切さを知らせる。
(彦根市立河瀬小)