お 名 前 は
好 光 幹 雄

 もう1年生は待たせてもらえないと思っていたが、13年ぶりに1年生の担任となった。これが貴重な2回目である。

 入学式の当日、教室の前の廊下で受付をするのであるが、一人ひとりに、
「お名前は何と言いますか。」
と聞いた。はっきり言える子、もじもじして保護者に促されてやっと言う子。恥ずかしそうに小さな声で言う子。緊張してか二、三度尋ねても言えない子。様々な子どもたち33人を受け持つことを実感した最初の出会いである。
 教室に入ってから、名前を呼ばれたら返事をする練習を2回し、トイレへ行ってから体育館への入場となった。堅田小学校は1,188名のマンモス校のため、入学式は1年生と6年生と保護者、そして1年生と6年生の担任とフリーの教師でしている。5学級の児童全員を呼名するため、それだけでももう我慢できなくて足をぶらぶらさせ落ち着きのない行動が出てくる。例年の様子であるが、今年はわりと落ち着いていると思われた。

 式後、教室へ戻って教科書配付等と、保護者への挨拶と当面の説明をした。
 初めて1年生を経験する保護者も多く、小学校6年間の1年生は、畑で言うと大切な土作りの時期ですよと説明し、学校に来るのが楽しい、基本的な生活習慣を身につけること、学習をする基本やしつけを身につけることが一番の課題であることを話し、協力をお願いした。また当面は、環境が変わり、人間関係も変わりストレスをためて家に帰る日が続くので、とにかく家で心と体をゆっくり休め、次の日元気に学校へ来れるようにもお願いした。

 さて、翌日から忙しい毎日がスタートした。初めての170名の集団下校も雨のため大変。帰るコースが分からなかったり、別のコースについて行ってしまったりと、毎日のようにトラブルが生じたが、2週間かかって、ようやく自分たちだけで帰れるようになってきた。
 またよくあるケースであるが、教室に入りにくくてお母さんに送ってきてもらう子。朝の打ち合わせをしている間に家に帰ってしまった子。毎朝、そのような子の対応をしている。

 入学1週間後に給食が始まった。子どもたちが大変楽しみにしており、給食当番もとてもがんばってしている。しかし、食べるのに1時間近くかかる子もいる。また体操服に着替えるだけで、10分かかり、また着替えるのに10分かかる。体育の時間はわずか25分。しかも運動場に出て並ぶのにも時間がかかる。
 これが1年生。焦らず諦めず徐々にぺースもあげ、1年後、立派な2年生に進級できるように励みたい。
(大津市立堅田小)