初心にかえって 〜初任者研修指導〜
高 野 靖 人

 自分が教員としてのスタートをきった年、即ち初任者だった年のことは、もう30年近く前のことだが、時々思い出すことがある。最初の勤務校、とても元気がよかった学級の子どもたち。初めての参観授業(草野心平の詩を題材にした国語の授業)まで鮮やかに蘇る点、我ながら不思議である。それだけ、スタートの年は、特別なのであろう。未熟ゆえの失敗もし、学級経営や授業に悩み、それでも、「教える喜び・子どもの成長にかかわれる喜び」を味わって、「これこそ一生の仕事だ」と覚悟を決めた年。やはり、特別な年である。

 そんな初任者の特別な1年に関わる仕事をすることになった。教務をするようになってから、同僚として初任者を迎えることがなかったため、初任者研修の経験は全くない。また、拠点校方式になってまだ4年目で、その言葉は知っていても、その運営方法について詳しく知らない状態だった。
 勤務校に8年ぶりに初任者がやってくることとなり、拠点校指導員も出すことが決定して、教務から指導員へ転身した。
 昨年度末は、教務主任の引き継ぎに追われていたのだが、この地域で拠点校指導員をされていた先生の話を聞き、デジタルファイルの引き継ぎを受けて、ようやく少し見通しが持てた。

 拠点校方式とは、拠点校(仰木の里小)、兼務校(堅田小・仰木小・伊香立小)に所属する4名の初任者について、それぞれ1日(7時間)ずつ、それぞれの学校で研修指導する方式である。研修は、授業研修(示範授業・参観授業・教材研究等)、一般研修(教育活動全般・服務等)に分かれており、各校の年間計画を基本としながら、校内指導員と相談をして決定していく。
 私は、週5日のうち、3日は兼務校で1日過ごす。出勤印も押し、給食もそこで食べる。残り2日のうち、1日は拠点校での研修。残り1日は、初任研関係の事務と準備にあてる。

 4月は、後半各校家庭訪問があり、1日すつしか研修できていないが、5月の黄金週間あけから本格的な研修が始まる。そこから毎日勤務校が変わる生活となる。
 すべて4年生の担任である。近隣の学校とはいえ、単級あり、滋賀県一番の大規模校ありと、バラエティに富んでいる。自己紹介を兼ねた国語の示範授業もすべての学校で行った。
 そして、4名の初任者。講師経験のある者もいるが、全員担任は初めてで、張り切っている。始めに記したように、初任者にとって大切なこの1年。私自身初心にかえり、共に学ぶつもりで、若い担任を育てたいと思っている。
(大津市立仰木の里小)