ちょっとうれしい話
伊 庭 郁 夫

 12年ぶり2度目の3年生担任になった。
 転勤先は、町村合併で滋賀郡から大津市になったばかりの和邇小学校である。しかも、和邇小学校は23年前から6年間、勤務したことのある学校である。中には教え子が保護者になっている場合がある。
 さて、その懐かしい和邇小学校で担任を与えられた。学年3学級で、児童は32名ずつである。
 新学期が始まって、国語でちょっとうれしい話が2つあった。

 1つは、「すいせんのラッパ」の音読でのこと。
 朝学習の前に教室に入ると、2つのグループが教科書を持って、音読の練習をしているではないか。このグループは、国語の時間に音読のビデオ撮りをすることになっていた。そのため、自主的に練習をしているのだ。
 音読の仕方は、5人程度のグループで8ページの分量を分担して読むのである。順番に読むグループ、「会話文」ごとに役割を決めて読むグループ、一部を声をそろえて読むグループなど方法は自由である。
「わあー、うれしいわ。音読の練習を朝しなさいと言っていないのに。えらい。また、私を驚かすようなことをしてほしいな。」
と思わず言えてしまった。
 授業で何をするのかがわかっていたため、誰かが進んで声をかけたのだろう。緊張感があるようだ。ただ、録画した2グループのうち、1グループは声が小さかった。
「1回目より、うまく伝わったら、合格。」
と指示した。2回目は、少し人前で音読することに慣れてきたようで、自信を持って読める子どもがいた。

 もう1つ、うれしかったことは、参観日の後の保護者からの連絡帳である。「昨日の参観日では、緊張しながらも自己紹介をがんばっている姿が見られました」という内容であった。
 自己紹介の内容は、「がんばっていること」「得意なこと」「宝物」「3年生になってがんばろうと思っていること」の中から1つ以上を選ばせた。そして、覚えてスピーチするのである。音読と同様、大勢の前に立つと、緊張のためか小さな声でしか話せない子が多い。少し無理をさせたかなと反省した。
「緊張した人は?」
と聞くとほとんどの子どもが挙手した。
 今年1年、少しでも自分の考えがみんなに伝えられるように工夫していきたい。
 来週から3週目に入る。
(大津市立和邇小)