第10回「新しい国語実践」の研究会滋賀大会
「新しい国語実践」の研究会滋賀大会を振り返って
森  邦 博

 第10回「新しい国語実践」の研究会滋賀大会で、私は実行委員長として、開会の挨拶をさせていただいた。

 私は、今国語実践のあり方、進む道を協議し合うことの意義をテーマにこめた。それは「言葉の力が育つ国語の授業」が今求められている、と考えるからである。また、そのための実践的課題として「目標・指導・評価をつなぎ・みなおす」ことを意識化することが大切と考えるからである。2日目のシンポジウムUでシンポジストは「今、目標・指導・評価の一体化をテーマにしなければならないこと自体、国語人の危機」との認識で語られた。このことはとりもなおさず、国語の授業での「目標」「指導」「評価」がつながっていないのではないか、つながりが十分検討されていない国語の授業で言葉の力=言葉による表現力、理解力が育てられるのか、との問いかけである。これはつまり、今大会のテーマそのものである。

 本研究会の特長は、常に教室の授業の事実を中心にして実践者相互が自らの問題意識を出し合い、協議することにある。できるかぎりは具体的実践に沿って話し合える機会と場を提供することが実行委員会の務め。そう考えて、4分科会を2分散会とし、計8分散会。提案は各3本ずつで計24本と欲張った。これは、吉永先生はじめ、各県理事の先生方、また県外の実践者、研究者の方々の助けをいただけなければできなかったと思う。本当に感謝している。

 大会が近づく中で、日本の国語教育の実践的な課題が、「読解力」というキーワードで語られ始め、文部科学省からも、「読解力向上プログラム」に沿っての実践事例集が作成され各学校に配布されるという。この「読解力」は国語科オンリーで培うのではなく、国語科以外の教科や時間でもつけなければならない力として求められている。だから余計に、国語科では「読解力」を練成する中核的な教科との自覚とともに「目標・指導・評価」をより確かにして実践に臨む覚悟が必要である。

 記念講演をいただいたの田中孝一視学官に、最新の情報を元にお話していただけたのは大変な収穫であった。

 さて、今から、実践の場で答えを出すことが私たちには求められる。参加者の先生方にはそれぞれの教室での授業実践の高まりにつなげていただければ大会実行委員長としてこの上ない幸いである。
(大津市教育研究所・科学館)