第10回「新しい国語実践」の研究会滋賀大会
言語事項の分科会で提案
蜂 屋 正 雄

 1年生で段階を追って書く力をつける指導をについて、次のような系統化を図った。
(1) 「〜は、〜です。」など、主述の関係については、行動の主体を聞き返すことを中心に指導。
(2) 「〜は」「〜へ」「〜を」については、その都度、朱書きで直すことを中心に指導。
(3) 句読点については、特に句点忘れについて指導。読点との違いも指導。
(4) 語彙を広げる指導。同じ表現を違うことばで表せた作品を紹介することを中心に指導。
(5) まとまりを意識して書く。二つのまとまりで書く。二段落目についてはその子の到達レベルに応じ て指導。
(6) かぎ「 」を使って会話文を書く。話し言葉をかぎで囲むこと、行を改めることを指導。

(4)の実践例 「教師の動作を見て書く」
 教師が箱を手に持って教室へ入り、机の上に置いてのぞく、箱から指人形を出すという一連の動作をする。子供達には動作だけでなく、様子や表情を見るようにあらかじめ指示をしておく。
 1時間目は、動きをした後、どれだけ書けているかを見てみた。何を書いたらいいかわからないと言った子が多かったため、書けた子の作品を紹介した。それが他の子どもにとって書き方のモデルとなった。
 2時間目は、少し演技をしては作品を見て、新しい表現をしている作品を紹介することを繰り返した。子どもたちは、それを聞いて自分の作品に取り入れることができた。
 3時間目は、会話文にかぎ「」をつけることを意識させて、書けた子の作品を紹介した。

 子どもたちは、段階を追ってどんどん書けるようになっていき、目標としていた四百字の原稿用紙を埋めることができた。このことは子どもたちの自信になり、「あのねノート」や書くことに意欲的に取り組んでいる。

 参会の先生方からは、計画を立てて、言語事項を一つ一つ意識しながら書く中で、教師から評価され、書くことを積み重ねていくことについて一定の評価を得たが、子どもにとっての目標が「たくさん書く」となっており、言語事項についての到達目標が明確になっていない点、また、年間指導計画の中に位置づけることの必要性をご指摘いただいた。
 今回は特設の時間の中で行った学習であったが、教科書教材を活用しながら、書くことの言語事項をどう明確に示し学習していくか今後の課題である。
(草津市立笠縫東小)