巻頭言
おもろいで、国語の勉強
後 藤 勝 徳

 先日、少女バレーボールを指導していた頃の子どもたちが集まってくれました。その中で、小学校の思い出をいろいろ聴かせてもらいました。ある子ども、といっても26才のお嬢さんですが、彼女は、4年生の時の国語の授業が忘れられないと言っていました。彼女は、クラスのみんなで討議したことが忘れられないと言い、今でも時々その時の様子を思い出すそうです。20年近く前の話です。また、高校生になった卒業生ですが、ダブダブのジャージに大きなイヤリングの彼に会った時、「6年生で一番思い出に残っている勉強はなんや?」と尋ねてみました。彼は、「先生ッ、オレ、ヤッパリ、賢治の『よだかの星』やなっ!」と言っていました。こう言った時の彼は、小6の可愛い目でした。

 卒業して何年も経っているのに、子どもたちには、忘れらない授業があるようです。なぜ、彼らが口を揃えて、宮沢賢治と言うのか、ディベートや討論と言うのか、を考えると、共通していることが見えてきました。それは、座学の学習だけではなく、子どもたちが主体的に活動した授業でした。

 今年は、3年生を担任しています。高学年が多かったので、教職19年目にして初めての3年生です。子どもたちは、どの教科の学習でもどんどん吸収していきます。今年の国語のテーマは、「日本語シャワーを浴びよう」と考えて実践をしています。まず、声に出してどんどん読んでみることです。ちょうど、NHKの「にほんごであそぼ」を観て育った子どもたちです。すぐに乗ってきてくれました。早口言葉・古典・名文など、みんな元気に日本語に親しんでいます。また、ちょっとの時間を見つけては、百人一首で大盛り上がりです。また、漢字テストでは、黒板にまだ習っていない漢字が一杯並びます。例えば、「ごちそうを食べる。」という時に、「御馳走」も黒板に書きます。写すことができる場を設定しておくのです。すると、大人でも書けない漢字にも挑戦する子どもたちが現れてきました。家庭学習では、どんどん辞書を引いて、習っていない漢字に挑戦しています。お兄ちゃんやお母さんでも、そして先生も書けないような漢字を書くことを楽しむ子どもたちの姿。いいもんです。

 座学で、基本的な力を付けていきながらも、こうした活動的な授業を展開して、やはり「先生ッ、おもろいなぁ」と言わせたいです。そして、「おもろくて力を付けさせたい」と考えています。
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(宝塚市立安倉北小学校)