▼カマキリの観察をしていた4年生の教室でけんかが起きた。今にもなぐりあいが始まるような険悪な雰囲で、周りの子は固唾をのんで見守っていた。

▼事態の大変さを察知した担任は「あなた達4年生でしょう。4年生は言葉で表現をする勉強をしているのでしょう。どうして手を出そうとしているのですか。やめなさい。」と、かなり厳しい語調で注意をした。言葉の意味が分かったのか、上げた手を下ろし、話し合いが始まった。

▼ケンカのきっかけは、グループで観察をしているカマキリに手を出してつつきだしたのである。観察をしていた子どもたちは「やめろ」と口々にいう。やめなかったので手を出してそれを制しようとした。カマキリを手で触ろうとした子は、手で払いのけられたのをたたかれたと思いこんで、手を出しやり返した。客観的には「やめろ」と言った方に歩があるが、手を出すところまで追い込まれた子にも同情できる雰囲気もある「やめろ」の言い方であったようだ。カマキリに手を出した子の言い分。「カマキリがみんなに見られてかわいそうだったから逃がしてやりたかった」。その後、「僕も大きな声でやめろと言ってしまった。はじめから、話を聞けばよかった」という自省。「僕もカマキリがかわいそうと言った方がよかった。」一件落着。

▼見事な大岡裁きであった。(吉永幸司)